CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

薪割りデビュー

さて、今回の森の家で何をしていたかというと、ひたすら薪および薪ストーブのお世話。

薪ストーブはじわじわ系の暖房なので、家全体があったまるまでには時間がかかる。10月の大雨の日は湿気のせいかなかなか温度が上がらなかったが、今回は乾いていたのでばっちり。一度あたたまるとそれが持続するので、着いた日が勝負。薪の種類と燃やし方などじっくり観察したり実験して研究し、次のリトリートのときにはたとえコンディションが悪くてもあったかくなるよう、ぬかりなく準備してきた。

だいぶ日の入り方が南寄りかつ低くなったので、日当たりもばっちり。

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最高のあったかポジションに陣取る部長


庭をどうするかだいたい見当がついたのでそろそろ着手したいのだけど、伐採の見積りが一向に来ない。貧乏であることを強調しすぎたか......。

屋根やウッドデッキなどもろもろ相談もあるので改めて見てもらったところ、クレーンを使わない伐採の金額はドキドキするほどではなかった。来週あたり? いよいよ暗杉くんともオサラバよ。

で、全部で4本くらい伐採するのだけど、暗杉くん以外は薪として使える木なので、薪割りができるような長さに切ってもらうことにした。にょかった。チェーンソーには手を出したくないのだ。そこまでいくと、戻って来れないような気がするから......。

いよいよ薪割りの準備をしなければ。けど、ほんとにこの私にできるのかな。

なんて及び腰だったのに、その日のうちに薪割りデビューのときが来た。

家の裏に積んである薪、割ったらすぐ使えるよと管理会社のおにいさん。前に住んでいた方が置いていった薪用の玉は大半が腐っていたけれど、中には使えそうなのもあるので選り分けておいたのよ。しかしまだ薪割り用の斧も買っていない。すると、使ってない斧を貸しますよと早速持ってきてくださった。

まずプロのお手本を見せてもらう。
簡単なのはすぐ割れるが、節のあるのは何度も打ち込まないと割れない。木の種類とか太さ、形状によってプライマリーからアドバンスまでいろいろ。

なるほどね。

じゃ、これ割ってみましょうと言われ、いざ斧を振り下ろしてみたが真ん中に当たらず。

うーん。そういうことか。狙ったところに命中させるのが難しいのか。

力ではないことはわかっている。女子でもできるはずだ。

そうだ、肚だ。バンダを使え。
(と思うまでもなく、オートマティックに入っていたけどね)

2、3回かすったあとに割れた。

その次のは一発でパカっと2つに割れた。

やったー!


その後ひとりで練習した。何事もまずは回数だ。プラクティス!プラクティス!プラクティス!

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薪割り台はお庭の切り株の椅子(腐ってる)


だんだんコツがわかってきた。
パカっと割れると音もいいし、なんたって気分爽快よ。

これ何かに似てるなと思ったらゴルフ。
もう何十年もやってないけど、ドライバーがよく当たったときのスカッとする気持ちよさだ。
まず、丸太の目指すスポットに斧を当て、そこから呼吸を使って斧を振り下ろすのが、ティーショットの感じにそっくり。一回で割れたときは思わず心の中で「ナイスショット!」と叫ぶ。もちろんチョロもある。

めっちゃ楽しいよ〜ん。

ほっといたらいつまでも割り続けそうだったけれど、お借りした斧は柄が古くなっていて、刃が外れて危険な感じになってきたので終了。

まずは斧を買わなくては。とさっき見ていたのだけど、薪割りデビュー前は、斧の値段見て「高っ!」って思っていたのに、今じゃ「安っ!」ってくらい意識が変化した。お値段というのはそういうものなのですね。

じゃんじゃん割って、じゃんじゃん焚きたい。

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ほんのり雪化粧した浅間山

もののあはれを知る山の秋

日曜の陰ヨガ終わってからお山へ。
着いたら夕方だなと思っていたのに、道路がひどく空いてて碓氷軽井沢インターまで1時間半で着いてしまった。日曜出発なかなかいいかも。

今回は来週末のリトリートの準備というミッション先行だったのでタスクも盛りだくさん、と同時にお楽しみも盛りだくさん。うーん、何から書こうか。

まず着いたとたんに、というか森の家に着く前に、いつものあたりで鹿が道路におりまして。
初の牡鹿。立派なツノ。車の前を逃げるように走って脇に逸れたところで、振り返ってこっちを見てるのもいつものパターン。

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白いおケツちゃん


この子かどうかわからないけど、家の中にいると頻繁に鹿の鳴き声が聞こえてきた。ふと百人一首の歌が思い出される。

おくやまに もみじふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき


この歌を知ってから50年近く。ようやくその意味を身近に知る日が来たのであった。

それに花札
もみじと鹿が描かれていたじゃないですか。

森の家のもみじはあまり美しくはなかったが、落ち葉のじゅうたんが敷き詰められていた@物置小屋付近。

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もみじと犬に風情はないな


翌朝3時ごろ起きて、拾っておいた小枝をストーブに投入すべく窓を開けたら、暗闇の中、カサっカサっと音がする。うちの庭に遊びに来るのはネコかシカだけど、どっちだろう。ヒトだったりしたら怖いけど、好奇心がまさってヘッドランプで照らしてみた。光が届かず見えないけれど、2つの目が光っている。その高さはシカだね。ずっと鳴いてた子かな。


午後からは街に出かけ、帰りにトンボの湯へ。
平日だけど駐車場はいっぱい。それでもちょっと前まで雨が降っていたせいか奥のほうは誰もおらず、晩秋の侘しさが感じられる。この侘しさというか寂しさ、あるいは物哀しさが私の心を落ち着かせる。生来の嗜好として、こういうのが好きなのね。いわゆる「もののあはれ」あるいは詩情。

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詩情を台無しにするものが写っておりますが......


こんなときは「風呂は静かに入るべかりけり」と思う。おしゃべりは野暮だ。三黙道場だ。お湯の音だけが聞こえるのがよろしい。


いい湯じゃったと帰る途中、月が山の端からひょこっと姿を見せた。満月前夜のほぼまん丸お月様に向かって車を走らせる形になり、これも風情だねえと悦に入っていると......。

またあの子に遭遇したではないですか。たぶん最初の写真の子だ。

月と鹿! これは絵になるぜ!

と狙ったところがシカは暗闇の影で写ってないわ、ピンボケだわ。野心をもつとしくじるものですな。


それにしても、日本の秋にシカはつきものだったと改めて知る。「ワビ・サビ・シカ」ってね。
(よい子は信じないでね)

この物哀しさがツボすぎて、私は愉しくてたまらない。寂しさにワクワクする。よっぽどの寂しさ好き。

そして、もうひとつホントの楽しいコトを見つけてしまったのだ。ぐふふ。楽しすぎてヤバイやつを。
長くなるので続きは明日。

今日よりよい明日はない

マイソールクラスのあと、ひだまりの中でサンスクリットを眺めていると、半身浴のシュー太郎と同じように目がトロンとしてガクッと落ちる。1日の多くを机に向かう日は、なんと穏やかで平和であることか。

この春リトリートハウスを手に入れたところから、ずっと肉体的にも精神的にも戦の日々であった。身の程知らずな買い物に破綻の文字が脳裏を横切り、通帳残高に冷や冷やしながら、なんとか自力で庭を整えた。と思ったら、田んぼの収穫で大わらわ......。

もっと稲刈りを楽しみたかった。ハザかけを楽しみたかった。と今になって思う。
いつも時間との戦いで強引に作業を終わらせていたことを残念に思うけれど、仕方あるまい。甘く見ていたとは言え、こうなることは覚悟の上だったのだから。

好き好んで困難を選んでいるわけではないのに、持って生まれた性質が人生にわざわざ波を起こしてしまうらしい。自分で起こした波に巻かれ、もんどりうって息も絶え絶えになることがわかりきっていながら、起こさずにはいられないという、死ぬまで治らないこの性分はどんなカルマのなせるわざなのか。

平穏な時間がうれしくて毎日活字を読み続けているせいか、妄想が活発でよく夢をみる。
今朝方目が覚めて、あの温泉はなんという温泉だったかな。あの道はどこに通じている道だったっけ。いつもループしてしまうあの道路......と夢に出てきた場所を特定しようと考えたら、それらはすべて私の夢によく出てくる、というか夢の中にしか出てこない架空の場所だと気づいた。間違いなく過去に何度もその場所の夢を見ているのだ。


先日、玉村豊男サンの『今日よりよい明日はない』という本を読んだ。
若い人にどの程度知られているかわからないので書いておくと、玉村豊男サンはずいぶん昔に東京からまず軽井沢に移住して、その後もっと長野寄りの東御市というところでヴィラデストというワイナリーを始めた方である。

この本の最初のほうに夢についてのエピソードが語られている。誰かが何かを成し遂げたとき、インタビューでは「夢が実現しましたね」とか「次の夢はなんですか」という質問が出る。それが、軽井沢移住もワイナリーも夢というわけではなく思いつきだったという玉村サンにとってはちょっと違うと感じるそうだ。

あー、わかりますその気持ち。
CHAZENをオープンしたとき「夢が実現したんですね」と言われて、なんか違和感があった私にはわかる。社交辞令のように発せられるいわばお祝いの言葉のようなものだから、そうなんですと言っておけばいい話なのだけど、いや夢じゃないからと言ってしまったのだよ。将来は朝のマイソールクラスをやるぞなんて決意した記憶はなく、インドから帰ってそうなったという成り行きだった。リトリートハウスもまた然り。ただ、機運が高まって実現に至ったというだけなのだ。

私にとっての夢とは、実現がかなり難しいというか非現実的なことに限られるのだと思う。定職を持たずに旅する生活をしたい、とかね。何かの願望があった場合、それを夢見ながら実現に向けてお金をためるとか、なんらかの努力をするのが世間一般の「夢」なのだろうけど、私はやろうと思ったときにはもうやっちゃっている身の程知らずだから、夢を見ている時間がないのよ。

ただ、今朝の夢のように、イメージは脳の中でしょっちゅう生成されていたとは思う。夢という認識はないのだけれど、どこかに刻み込まれていたからこそ、その時が来るのかもしれない。

本の話に戻ると、それくらい人は明日を語ろうとするし、夢というものに価値を置くということだ。
子どもだったら夢があったほうが子どもらしい希望に満ちていて微笑ましく思えるけれど、いい大人になって無理に夢を求める必要はないのじゃないか。明日はもっとよくなるようにという姿勢がいいことだと考えられている。いわゆる前向き志向は一見すばらしく感じられるけれど、これが多くの人を疲弊させてもいる。

明日を夢見ずとも、日々のなすべきことを紡ぎ、その中に楽しみを見い出したらいいのにね。

「今日よりよい明日はない」っていい言葉だ。
なんでも、ポルトガル(だったか?)のバーテンから聞いた言葉だそうだけど、20年前のワタシにも聞かせてあげたかった。

とか言いながら、私も玉村サンのように軽井沢をステップにして終の住処を見つけたいという野望が芽生えている。できれば山から木を切り出して自ら粗末な小屋を建て、電気も水も自給したいという実現不可能なこの妄想こそ、私にとっての「夢」なのである。

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立てかけたプールで見る夢はどんなかな

バンダ探しの旅へ

指導の中でバンダという単語をできるだけ使わないようにしているのは、そんなに安っぽく、軽々しく使う言葉ではないような気がしているからだ。たとえばそこで、バンダってなんですか?と質問された場合、即答しかねる。

やって見せて、これがバンダです!なんてこともできないし、私がバンダだと思っているものがバンダである確証はない。

だったらこのまま、バンダのことには触れずに指導していけばいいのかというと、それも違う気がする。

皆なんとなくはバンダのことを知っていて、深く知りたいとも思っているであろう......。


かくして夏のある日、「そうだ、バンダ!」と思い立ち、本日がそのワークショップでありました。
CHAZEN生には万難を排して参加するようにと呼び掛けたものの、バンダについて語ることへの抵抗も根強く存在していて、準備をしつつも逡巡していた。オレのバンダ観を押し付けていいものだろうかと。

なので、ワークショップの構成として古典に説かれているバンダについて知ることから始めた。先人はこう教えていますよという客観的なバンダについての知識を学ぶところから。

そして、実際にアシュタンガヨガのアーサナ練習に必要なバンダについては、あくまでも私自身の解釈であることを強調するために、それを「ばんだろう」と呼ぶことにした。かつて自身のバンダ探しの航海中そう呼んでいたように。

こうして、晴れて明日からは、気安くバンダという言葉を口にできるようになった。
今日の受講者たちも、それぞれのバンダ探しの旅に出るだろう。

その前途を祝して、新しいCHAZENのマスコットを作ったので、朝これを見てリマインドされたし。

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どうぞよろしく


旧マスコットはなんの役にも立ちませんが、一応おります。こちらもよろしくお願いします。

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存在アピールが激しすぎるが


久しぶりにあっちのブログを更新して、旧マスコット犬のことを書きました。

chamico.hatenablog.com

タゴール

疾風のように10月が終わろうとしている。いろいろが濃ゆすぎたけど、落ち着きの兆しがあらわれ始めた10月。文学への回帰が始まった10月。

なぜ軽井沢をリトリートの拠点に選んだのかという理由は両手両足の指では足りないほど挙げられるけれど、そのうちのひとつが文学の匂いがするところ。

ブンガクとかアシュタンガヨガ界で語ってもウキまくるだけだろうけど、ごくまれにそういうシュミをお持ちの方がいたらちょっとうれしいかも。なんて、かすらないことを承知しながらチラ見せしてみるなり。

先日のリトリートで訪れた見晴台にタゴールの胸像があった。

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きのう写真アップし忘れてたので追加


ちょっと意外な感じだったけれど、大正時代に来日した際、軽井沢に滞在したのだそう。タゴールといえば、かつて神楽坂にタゴールというカフェがありましたっけ。懐かしいなあ。理科大の開発で消えた古い店。もうそんなことすらも忘れてたけど。

いえいえ、タゴールといえば、CHAZENをオープンしたときにアシュタンギである友人が送ってくれた詩。7年前のこと。これも少しずつ「懐かしい」ほうへ移っていってるね。

Let me not pray to be sheltered from dangers
But to be fearless in facing them

Let me not beg for the stilling of my pain
But for the heart to conquer it

Let me not look for allies in life's battlefield
But to my own strength

Let me not crave in anxious fear to be saved
But hope for the patience to win my freedom

Grant me that I may not be a coward
feeling your mercy in my success alone,
But let me find the grasp of your hand in my failure

Rabindranath Tagore


何度読んでも効く言葉。
この7年を振り返ってみれば、この詩に符号するようにすべてを乗り越えてきたような気がする。神社では、災いがありませんようにと願うよりも、災いも乗り越えますから必要なものをお与えくださいとお願いしている私。そして、乗り越える力を育てるのがアシュタンガヨガの練習だと信じ続けている私。

より詳しい日本語訳はこちらからどうぞ。

chayoga.exblog.jp


それから、リトリートの暗闇アクティビティではネイティブアメリカンの詩を読んだ。そのひとつがこちら。

chayoga.exblog.jp


今、お山ではかなり久しぶりに小説を読んでいて、リトリートの前日はうっかりそれで夜更かししてしまったけど、これからは少しずつシャバ帰りして修行の妨げになるような(!)本を読むつもりでいる。妨げだから東京には持ち込まないことにした。でも、早くお山に行って続きが読みたいわー。→これが「妨げ」

お知らせ3つ

近ごろは更新が少ない上に、話題といえばお山か田んぼのこのブログ。
ヨガのことはめったに出てきやしないけれど、これでヨガを語っているつもり。

しかし、肝心のヨガワークショップのことを知らせていなかった。

もう1週間切ってる今になってそれに気づいたのだけど(きゃー)、来週4日の祝日に「バンダを知る」ワークショップを行います。バンダって、老眼になるとマルなのかテンテンなのか判別しにくいものですが、上野動物園の可愛らしいアノ動物ではなく、bandhaでございます。

bandha? ナンデスカソレ?
と思った方にはもれなく受講していただきたいワークショップです。

自分にはそんな高度なテクニック必要ないわ。
と思った方こそ受講していただきたいワークショップです。

若干の空きがありますのでぜひ。

www.chazenyoga.com


それから、11月の「くつろぎとぬくもりのリトリート」が台風で開催できなかったアーユルヴェーダの内容に変更されたので、12月に今年最後のリトリートとして改めて設定いたしました。先日、薪ストーブがあるだけで癒しになることがわかってしまったので、寒くても、いや寒いからこそこのテーマで実施したいと思うのです。

薪ストーブは着火してから家全体があたたまるまで時間がかかるのですが、ムーンデイがあるので私が二日前に現地入りしてあっためておけば、参加者が到着するときにはお部屋がぬくぬくしているはず。

外が寒いからこそ、火のあたたかさ、温泉のあたたかさ、食事のあたたかさがしみわたるでしょう。
ぜひ森の冬を味わってみてください。

www.chazenyoga.com


さらに。
星覚さんが来月一時帰国される予定で、CHAZEN米で「食べる禅」の会を今年も実施する運びとなりました。12月8日(日)の10時30分〜ということだけ決まっています。コメコメ倶楽部で丹精込めてつくったお米を、禅の作法を学びつつ堪能する会ですので、どうぞお時間を空けておいてくださいませ。

こちらは詳細決まり次第ウェブページと本ブログにてお知らせいたします。


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ご近所さんのレインボーカラーもみじ

静かな静かな森の秋

台風に祟られている森のリトリートですが、今回も前日に大雨。なぜに毎回大雨?

前夜のうちに雨は上がったものの、すっきりとは晴れず。
今回は学びや修行風味が少ないお気楽リトリートというコンセプトなのに、アウトドアを楽しむにはイマイチのお天気。庭は湿っていて焚き火のコンディションではないし......。ということで急遽プランを変更して小ドライブで紅葉を見に行くべく、信濃追分駅ではなく軽井沢駅までみなさんをお迎えに。

その前にまずはお蕎麦から。
初めてのお蕎麦屋さんに行ってみたのですが、部長同伴できるテラス席は寒く全員あったかいお蕎麦を注文。11時すぎというのに店は繁盛していて待ち時間でさらに冷えたカラダに揚げ餅蕎麦がしみる〜。必然的に無言の行でいただきました。

向かったのは見晴台。
群馬と長野の県境にある碓氷峠からの眺望をのぞむ場所です。かれこれ20年以上も前に行った記憶をたどったのですが、そのほとんどは忘却の彼方に飛んでいて我ながら驚きました。こんなのあったっけ?と。

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この門の記憶ゼロ


曇り空でも圧巻のナイスビュー。

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来年、ハイキングで来るプラン決定!


部長も思わず瞑想状態に。

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てか、オレ景色に興味ないし


峠の茶屋で力餅休憩になると俄然やる気モード。

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おでにもくでよー


森の家に到着後、敷地は濡れた落ち葉が貼り付いている状態でしたが、せっかくなので儀式として小さな焚き火をしてみることに。濡れてない小枝を拾ってきて絶えずフーフー吹きながら小さな炎を保ち、お約束のマショマロを炙ったり、たまたまあったぎんなんを焼いたり。なかなか楽しい大人の火遊び(!)でした。

その後室内に戻って軽い夕食。
みんな薪ストーブの前に陣取っているので、そのままテーブルにはつかずに火を囲んでコース料理のように一品ずついただきました。メニューは朝焚いた薪ストーブの熱で炊いたふろふき大根。薪ストーブで焙ったおやき。CHAZEN米のおかゆ。柿。

リトリートでは当初考えていたプチ断食はやめて、日常で実践しやすいような少食にしようと考えています。基本はもちろん「詫び飯」。季節やテーマによって内容は変えていきますが、特に淡味を効かせた消化のよいものを提供していくつもりです。

食べ終わる頃には日はすっかり落ちて、暗闇アクティビティ。
そして、その冷えたカラダとともに温泉へ。昼のお蕎麦同様冷えた分だけ温泉がしみた〜。

翌朝はリトリートの定番メニュー、坐禅〜散歩〜マイソールの流れです。

朝ごはんはテーブルでいただきましたが、トーストはやっぱり薪ストーブで。

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薪ストーブの前で寝ていた犬も始動


レクチャーなどのコンテンツがないために私としては物足りない気がした今回のリトリートでしたが、参加された方たちはその分ゆったりと自然を堪能していただけたようです。学びは東京でもできますが、自然の中に身を置くことは森の家でしか味わえないことなので、これこそがリトリートでしょうかね。

秋はセミも鳴かず、鳥の声も控えめで、ほんとうに静かです。
それに薪ストーブはエアコンやヒーターなどと違って電気が作るゴーッという風の音もなく、ときどきパチパチする音がこころをもあたためてくれます。ゆらゆらゆったりとした雰囲気は最高のぜいたくかもしれません。

2日目も朝から曇っていて出発のときに浅間山がすっぱりと雲に覆われていたのですが、センターハウスに車を停めて、控えめだった朝の散歩を補うべく別荘地内を散策していたら、その雲がまったくなくなっていたのには驚きました。

最後の最後に姿を現すというなかなかの演出です。

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ほんの少し前まで裾まで隠れていたのが嘘のよう


中軽井沢駅で見送った参加者たちの顔も、この浅間山のようにすっきりと晴れていたことが印象的でした。私が何をせずとも、リトリートの目的は十分に果たされたのでした。

大事なことは自然が教えてくれる。
レクチャーよりも、偉大な師からの無言のメッセージ。

これを基本に今シーズン最後の企画を立ててみようと思います。