CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

心血の枯渇

日曜日がムーンデイだったので、房総方面に出かけた(連れていってもらった)。

特別体調が悪かったわけでもないのに、鋸山というところで延々と続く石段を上っていたら、上り始めてすぐに妙にイヤ〜な感覚がして、脚は上がらないし、息は切れるし。引きこもり生活の運動不足だと思い、途中休み休み上っていた。

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紅葉を撮るフリをして休む


あまりに足が動かないので、なりふり構わずお婆さんのように手すりにつかまってなんとか進むが、息が苦しくて具合が悪くなってきた。同行諸氏に先に行ってもらい、階段の途中でしばらく立ち止まって休むが、酸欠状態で頭が締めつけられるように痛く、気持ち悪くて、動くことができない。たぶんマスクのせいもある。

高校時代に貧血と診断されて、得意だった長距離が走れなくなったときのことを思い出した。ただ、そのとき半年間通院治療してちゃんと治したので、以来血液検査で引っかかったことも、息切れなどの症状が出ることもなかった。禅の旅でもリトリートでも、山道はいつも駆け上がるように先頭切って歩いていたのだけどね。

ほんとに血虚になってしまったらしい。

血虚というのは血(けつ)が不足しているということで、中医学的には全身に栄養物質を届ける機能の低下をあらわす。西洋医学的な貧血イコール血虚というわけではないが、貧血に近いと思う。酸素が運ばれないので息切れするようになる。

帰ってきてからも具合が悪く、舌を見たら今まで見たことのない血虚の舌になっていてびっくり。夏の間は湿で大きく膨れ上がっていた舌(体のむくみと同様に)が、今は反対に痩せて乾燥した舌になっている。

すごい、教科書どおりだ。
もしかして、中医学の実習のために、わが身体が自らいろんな病症になってみせているのか?

それにしても、介護疲れや、勉強疲れで血虚になるとは思わなかった。そういえば、持てる力をすべて出して何かを行うことを「心血を注ぐ」というけれど、心血を注いだら心の血が不足するのかな。

せっかくのチャンスなので、血を補うものを摂取し、漢方を飲んで、みごと復活するところまで実習しないとね。

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富士山がきれいな1日でありました

多夢にも漢方

理事長がご老体になられてから、私の夢見が激しくなった。夢か現かわからないようなリアルな夢から、映画とかテレビ番組的な妄想夢まで多彩な夢を見る。

たとえば、しばらく前にハマっていたドラマ「三国志」に出演していた俳優さんたちが、リゾートに集結して三国志について語るという企画とかね。海上に浮かんだ船の中で水着に近いリゾートウェアに身を包んでいるのに、それぞれがどこか漢の時代の登場人物を彷彿させていて感心している夢。

こういう妄想は自分を楽しませてくれるものであると同時に、苦しめる元凶でもある。修行が十分になされているときは、妄想が減って穏やかに過ごすことができるのだから。

あるいは、犬に寝床を占領されて不自然な姿勢で寝ているために、へんてこりんな夢を見ることも。

chamico.hatenablog.com


夢の中でサンスクリットと闘っていたり、漢方方剤を探していたり。そういえば多夢というのは不眠の一種で、血(けつ)の不足すなわち血虚の症状だ。それに、犬の病気やらコロナやら何やらで、常に考えすぎているこのごろ。

先日、朝ぞうきんがけでしゃがんだら動悸がしてきた。

これは漢方で勉強した心血虚ではないか?

思慮が多すぎると、心(しん)の血を消耗する。さらに、新年に向けてWebサイトをリニューアルする作業を続けているので、最近はずっとモニターを凝視して目を酷使しているから、なおさら血が不足するのかもしれない。

そんな昨夜、脚がつってなかなか治らなかった。こむらがえりもまた血虚を示すもので、これはいよいよ揃ってしまったようだ。


そうだ、あの煎じ薬!

今朝、坐禅をしているときに閃いた(実は坐るといろいろが下りてくる)。漢方薬を試し飲みするならやっぱり煎じ薬と、いくつか取り寄せておいた中に血虚に効く方剤があるのを思い出したのだ。

漢方薬は自分の証に合っているとおいしく感じられるというのは知っていたが、漢方薬を飲むのをやめるとき、つまり症状が改善されてもう必要でなくなると、今までおいしく感じられていたものが飲みにくくなってくるという。そして、いくら証に合っている漢方薬でも、もしどうしても飲めないなら別の薬に変えたほうがいいのだそう。

こういうところが、めっちゃ面白い漢方の世界。味で決まるなんて、ふつうの薬ではありえない。だから、エキスの錠剤なんかではなく、ちゃんと煎じ薬でお味見してみようと思ったわけさね。

で、コトコトと小一時間煎じて飲んでみたら、うん、けっこうおいしく飲める。心血虚ズバリの薬ではないのだけど、わりと私には合う方剤なのかもしれない。そしてこのお薬は、がん研有明病院の先生が多くのがん患者に処方すると書いておられたので、シューさんにもちょこっと飲ませてみた。

さすが漢方ドッグ。
躊躇せずおいしそうに飲み干した。ちなみに、ガンに効くというなんちゃら茶(お高いやつ)をあげたらソッポを向いて一口も飲まなかった。コーヒーや紅茶もミルクが入っていない限り飲まないのに、濃くてそれなりに苦味のある煎じ薬はよろこんでペロペロするとは......。

ところで、先日シューさんがお腹こわした日の前後は私も体調がすぐれなかった。食欲があまりなく、頭痛がひどく、かぜという感じでもなかったけれど、葛根湯証とみて飲んだら頭痛はとれたが、どことなく不調ではあった。

それが、きょうは朝からやたらお腹が空いて、ここには書けないくらいたくさん食べているのにまたお腹が空く。

なんかおかしい......と思ってから気がついた。あれは血だけでなく、気を補うお薬ではないか。消化機能を高めて食欲不振を改善し、気力を与える効果の高い方剤ゆえ、お調子者が飲むとさらに調子に乗ってしまうのではないか。あぶないあぶない。次は夏の弱りきっているときに試してみよう。

漢方薬の多くには、脾胃の機能を高める生薬が含まれている。
食べたものを栄養として全身に届ける機能が衰えると、あらゆる臓腑に影響するからだ。ちゃんと食べて、ちゃんと消化できていれば元気でいられる。シュー理事長を見れば一目瞭然だ。

見た目からは感じられないけれど、シューさんの内に秘めたる生物としてのパワーがすごい。漢方は、そのパワーをどんどん引き出してくれるように思える。そして私はさらに漢方にハマり、考えすぎたり目を使いすぎたりして血が足りなくなるという......。


窓辺にたたずみ、過ぎ去りし日に思いを馳せる......

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......ことのない、天然グルでした

ますます楽しい天使たちのスートラクラス

きのうは新しいヨーガ・スートラのクラスの2回目でした。
帰っていく人たちを見送っていときにいつも感じるのですが、みなさん晴れ晴れとした朗らかなオーラをまとっているのです。確かに羽根をつけた天使のように見えます。

そういえば私自身が、スートラクラスのあとはとても気分がいいのでした。たとえ肉体が疲れていたとしても、精神状態はほんわりとしたやさしいものに包まれているのです。終わったばかりなのに、次が楽しみになるようなそんな気持ちになるのは、天使たちの姿が見られるからなのだと気づいた次第です。

与えるフリをしながら、実は私がいちばん与えられているという事実......。

CHAZENのスートラクラスは、参加している人すべてによって形成されていて、これだけは、私がいくらそれを願って努力したとしても得られないものなのです。むしろ私から発しているのは、天使とは程遠い「オラオラ」オーラですのに、全体の出来上がりは天使になるのですから不思議な気もします。

CHAZENの座学のテーマは「日常をどう生きるか」です。それが次のクラスまでの間に、何を考え、どう練習するかという宿題でもあります。1回参加するたびに自分のなかで何かが変容したり、以前はわからなかったことがつながって腑に落ちてきたり。この宿題で毎日がより生き生きと楽しくなること請け合いです。


ムーミンのシュトレンをスートラおやつにしようと、理事長と後楽園まで買いに行ったのですが、今は売ってないみたいで残念。

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理事長の気晴らしにはなったかと......


マイソールの時間に寝ないように仕向けたら、作戦どおりスートラクラスの間ぐっすり寝ていた理事長でした。

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なに? おやつの時間がもう終わったって?

シュー理事長健在なり

CHAZENでお米を作らなくなってからも、自主的に田んぼを借りてお米作りを続けている人たちがいるんですよ。しかも、私はただの一度も手伝っていないのに、毎年年貢米を納めてくださる。

そんな貴重なお米があるなら、やっぱり禅の作法でありがたく、恭しくいただきたいじゃないですか。ところがこのご時世でそれがままならない。調べたら前回は約3年前でした。細かい流れがすっかり忘却の彼方なので、応量器セットを揃えていたお仲間たちを招集して、記憶を呼び覚ますリハビリ要素の強いお粥の会を行ったのでした。

もっとも昨年11月に簡易版のお粥の会をしたようなのですが、そのときの記憶がありません。というのも、その数日前、理事長に初めてのてんかん発作があり、大きな精神的ダメージを受けた直後だったのです。あのときは1年後があるなんて想像すらできないような気分でした。


さて、お粥の会の準備が整い、理事長にもお昼ご飯を差し上げて、おそばでお休みいただくようベッドをおいてスタートしました。

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何か気になっているご様子


あまり細かい作法にはこだわらず一応通してやってみるという感じで、したがって緊張感も薄く。ややアヤシイところがありながらも、概ねつつがなく進行しました。

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百合根と緑豆入りの玄米粥、漬物、ごま塩


ふと気づくと、隣に理事長がいらっしゃってました。

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オレの飯台は?


さすがです。食事の会のときは黙って寝てなどいられません。反対側に座っていた人は目の前の理事長がおかしくてたまらなかったそうです。

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さっきお昼を召し上がったばかりでは......


ひととおり終わってお茶を飲んでいたら、用がなくなったかのようにコテっと寝て、でも余った漬物をお茶菓子代わりに食べはじめたらムクっと起きてきて、食べ物がすべてなくなったら、ようやくグーグーお休みに。

あまりにも理事長らしいふるまいに、まだまだシューさん健在なりと胸をなでおろしました。そういえば、かつてお粥の会のときはシューを室内でつないでおいてましたね。なるべく本式に近づけて床で食べてましたから、油断するとぺろっとやられる人が......。

ほんの少しコロナ以前が戻ってきたような、平穏を感じる今日の会でした。

やる気モード

先日の低気圧によると見られる理事長の鳴き叫びで、新たな問題が勃発した。その後はぐっすり眠れているのでひと安心だし、私も安眠できているけれど、この件で再び交感神経のスイッチが入ったようで、寝ている場合じゃねえと活動を開始した。

この2ヵ月ほど、もしもの事態を懸念して積極的にものごとが進められなかったけれど、先のことは神様しかわからないのだから、案ずるよりもとにかく前に進もうという気持ちが湧いてきたのだ。

マイソールクラス中、練習の妨げになることだけは避けたい。それだけはあってはならぬと思っていたが、ほんとうにそうだろうか。大多数の人は鳴き叫びも修行と思って耐えてくれるばかりか、むしろ、喜んで妨げを引き受けてくれるような気がしてきた。

汝、CHAZEN生をみくびるなかれ。

何かあったらあったで仕方あるめえ。そのときはそのときだ。理事長を心から愛してくれているCHAZEN生を頼りに乗り切ればいいだけだ。心強いぜ。ありがとうよ〜。


とりあえずできる限りの対策を講じるため、犬の鎮静剤をもらいに獣医さんのところへ。
飲ませたら30分で寝るという、最後から2番目くらいの切り札だ。ごくまれに効かない子もいるらしいが、それに該当しない限りこれでなんとかなるだろう。いよいよ西洋薬が本領発揮するステージだから、いざというときは躊躇せずこれを使おう。


ところで、昨日のナゾの荷物。
ブログを見た贈り主から「オレだよ」と連絡があり解決した。イモートやったわ。まさか漢方薬局名で送られるとは思わなかったって。これで安心していただける〜。ありがとうよ〜。

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薬膳スープの素(中央)が本命らしい

混乱と謎に包まれた午後

眉間にしわを寄せながら、ちょっと面倒なデジタル作業に取り組んでいると電話が鳴った。

発信元はマンション管理会社の名前だ。

一昨日の晩、急な天候異変のせいかシューが夜通し泣き叫ぶ異常行動があったので、住民から苦情があったかと、おそるおそる出ると、

「今月分のお家賃が振り込まれていないのですが......」

ぎゃー、まったくもって忘れていた。こんなことは9年間で始めてだ。最近地に足がついていないのかもしれない。


即振り込んで一息ついたところで、理事長が昼寝からお目覚めだ。さっと抱き抱えて散歩に連れ出す。エレベーターを降りてエントランスホールを歩いていたら何やらあたたかいものを感じた。

にゃんと、理事長が抱っこされたままちっこのフライングをなさっているではないか......。

急いで外に出て用を足していただいたけれど、振り向くとフライングの跡が......。お年寄りがトイレ間に合わなくなるってこういうことか? 携帯用のウェットティッシュでは間に合わないのでぞうきん持って来ようと部屋に戻ると、宅急便の荷物が入り口に置いてあることに気がついた。置き配は指定しないのになんだろう。おかしいな。

いや、それより誰かが通る前にちっこを掃除せねばー。大急ぎで掃除を終えて、イヌとヒトの服を洗濯して......ふう。


で、さっきの宅急便よ。

覚えのない荷物だけれど、送り主が漢方薬局だ。見ると、メモ書きがついている。どうやら違うフロアに誤配されたようで、誤配先の方が確認しないまま開封してしまったお詫びが書かれていた。

クロネコさんよー。置き配で誤配はやめておくれ。人に見られたくない物だったらどうするのさ。

それにしても、私何を頼んだっけ?
漢方薬はいろいろ試してみようと思って取り寄せているけれど......。

開けてみると何やらすてきな漢方茶と薬膳の素。が、注文した記憶がない。もしや、私ボケてしまったのかとメールを検索してみたが、その薬局に注文を出した形跡は見当たらない。

しかも、納品書のようなものは入っておらず、送り状などもない。もしかしたら、誤配で開封されたときにひらりと落ちて捨てられてしまったかも。けど、そんなこと聞きに行くのもアレだし......。

どなたかが贈り物として送ってくださったのだろうか?

でも、誰からもそのような連絡をいただいていない。

しかもCHAZEN宛ではなく私のフルネーム宛だから、知らない人ではないと思う。

ナゾだー。
めっちゃ飲んでみたいお茶と薬膳なんだけどなー。ナゾのまま飲めないしなー。

ナゾの荷物が誤配されるという運命のいたずらよ。

お心当たりの方はCHAZENまでご一報くださいませ。

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こちらがフライングの老犬です

気のいい漢方喫茶

昨日の漢方喫茶は、いつもの陰ヨガやワークショップのおまけ的なものから進化して、約90分じっくり漢方のお話をさせていただくものでした。とはいえ、詳しく話し出したら1回ではとても終わらないので、漢方的な冷えの考え方とか、冷え対策の具体例について、さらっと受講対象者に合わせた内容に絞りました。

話そうと思っていたことが抜けていたりして改善の余地は大アリだったのですが、初めから終わりまでみなさん興味深く聞いてくださったので、とりあえず目的は果たせたかなと......、そんなところです。

今回もすごく久しぶりの方が参加してくださったのですが、スタートするなり、「ああ、やっぱりここは ”気” がいい」と懐かしそうに言われました。そう感じるのはたぶんCHAZENと”気”が合うからなのだと思います。気の合う方に来ていただいて私もうれしいです。

先日も、ときどき来られる方から、CHAZENの空気がいつもきれいだというコメントをいただきました。実際には、CHAZENの空気はそれなりに排ガスなどが混じっているだろうし、空気清浄機も使っていませんが、そういう印象をもっていただけることがありがたいです。

私の研修プログラムとして承っている個別の漢方相談も増えていて、みなさん順調に症状に改善がみられています。その経過を見て思うのは、漢方薬をただ言われるままに服用するよりも、ヨガの実践や食事や生活習慣から見直すことで効果が倍増しているということです。うち何人かは以前にも漢方薬を処方されて飲んだことがあるけれど、あまり効き目が感じられなかったそうなので、いかに専門家の処方といえどもそれだけでは残念なことも多いのではないかと推測します。

実はこの10年くらいの間に2回ほど本気で漢方の勉強をしたいと考えたことがあったのですが、医師や薬剤師の資格がなければ勉強したところで使えないと思って断念していました。今はむしろ医者や薬剤師でないからこそのオリジナルな役立て方が見つかったことを幸いに思います。これもシュー理事長のお導きでしょうか。


ところで、漢方喫茶と銘打っているので、お茶を飲んでいただくことがメインだったりします。今回は冷えというテーマに合わせてハニージンジャーシロップにしました。

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シナモン、カルダモン(種のみ)、クローブ、アンド陳皮入り


ちょうどタイミングよく、無農薬で育てた生姜をいただいてあり、星覚さんからベルリンみやげにいただいた蜂蜜もあったので、久しぶりに作ってみました。ずいぶん前によく作ってたけど、近ごろは蜂蜜すら買ってない。いつごろだったかなーとまた旧ブログを見てみたら、2009年でした。

chayoga.exblog.jp


そう、このころはよくカゼをひいていて、咳用に使っていたのでした。

chayoga.exblog.jp


これを、まずはお湯割りで、次いでレモンを絞ったり、紅茶に入れたりして飲んでいただいたのですが、スパイスの香りがよくて、身体があたたまり、まさに今回のテーマにぴったりの喫茶タイムでした。「漢方喫茶」というのは、まだ「講座」とかえらそうなことを言えないという遠慮がちなネーミングですが、喫茶にすると受講者にとっても気楽で、なかなかいいアイデアだと思っています。CHAZENのCHAは「茶」ですから、なおさらぴったり。(ちなみにZENは禅ではありません)


次の開催は未定ですが、ぼちぼち続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。