CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

犬生最大に貢がれた日

初めて理事長の「誕生会」を開催してみました。以前は座学とか練習のついでにケーキを食べるイベントを挟んでいたのですが、記念すべき19周年ですからね(ホントはそれで座学がもっていかれるのを避けた)。

日曜マイソールの後とはいえ、犬の誕生会ごときに多くの方がご参加くださり、それはそれは楽しい時間を過ごすことができました。

朝イチ、参加できない方がシャレオツなお花を持ってきてくださって感激。

さすがは名誉職だけにお花も豪華


次いで、昨年赤いちゃんちゃんこを縫ってくれたあの方からも、無念の欠席の代わりにおったまげーのプレゼントを賜りました。

残念ながらヒト用でございます


この完成度の高さったら。もはや言葉を失います......。

それぞれ顔が違うのにぜんぶkawaii


さて、マイソールも終わり、記念式典に向けて赤いちゃんちゃんこに着替えてもらおうとしたら......、

銀のちゃんちゃんこ登場!

殿のお召し替え


昨年赤いのをもらったときに励ましとして「19歳は銀のちゃんちゃんこ、20歳は金のちゃんちゃんこ」と言っていた言葉どおり、ホントに銀。まさか現実になるとは〜! もちろん、お帽子と座布団付き。さらには、フェルトで作ったネックレス(中にはシューの毛が入っている)も!

マドロスさん的イケイケお帽子


次から次へと出てくる手作りのプレゼントに始まる前から沸きに沸きまくりです。そもそもこのイベントのメインは、もはやCHAZENには来ていないマダムから今年もいただいたケーキの「喰いっぷりショー」なのですが、そこに至る前からすでに興奮が止まりません。

うっかりケーキ本体の写真を撮り忘れました......。

が、そこは毎年恒例でいただいているだけに昨年の写真でご覧ください。変わっているのはプレートの年齢が18才から19才になったことくらいです。

chazen.hatenablog.com


はい、今年も期待を裏切らないみごとな食いっぷりでした。この瞬間だけは「どこが老犬なん?」です。

「顔中クリームだらけ」も変わらず


フォトグラファーの某嬢が、きっと何度も見返して笑えるであろう食いつき動画を撮ってくれました。何から何まで至れり尽くせりです。

お体に触らぬよう半分ほど召し上がったところでメインイベントは終了。理事長を「お誕生日席」にお連れしてお茶会に移ります。

お衣装がお似合いですこと


私からのささやかなおもてなしはフルーツポンチ。
あまりに暑いので思いつきで作ってみました。ベースには昨年仕込んだ杏酒をちょっぴり入れ、みつ豆風に寒天を添えて。

自分好みの甘さ控えめで


自前の限界を知る私は、メインのお菓子を毎度おなじみのS子製菓に発注したところ、キャロットケーキとビクトリアンなんちゃらスポンジケーキの2種類も焼いてきてくれました。

華麗なるビクトリアン・ティータイム


さらに、あまりに暑いので(しつこい)ミントティーを飲んでいただきたいと思い、これまた練習生のお庭にあるハーブを摘んできてもらったのでした。以前はCHAZENでも育てていたのですが、現在ベランダにハーブがほとんどないのです。

これがまた大好評でしてん


と、ここまでで十分楽しくて心も体もお腹いっぱいなのですが、まだ続きがありまして......。

宴もたけなわになったころ、某丈が突然立ち上がってシューちゃん愛を激白し(知ってるけど)、自作のオオタニシューヘイ・ユニフォームをプレゼントしてくれたのでした。
追記:犬谷(いぬたに)シュー平の間違いでした。

一同のけぞってぶったまげた


こりゃあ、逆転一発ホームランですわー!


さっそく、シューヘイ殿のお色直しとなりました。これがまたピッタリでお似合い。

シューヘイ、かっこいいぞ


いやはや、長生きはするもんですな。
犬生始まって以来の晴れがましい1日でした。よきかなよきかな。

満腹になり、さすがに疲れてお昼寝タイム。ここでもうひとつのプレゼントが。いつも練習終わりにマッサージをしてくれるあの方から、ひんやり枕です。これ、首が落ち着かない理事長にちょうどいい。

気持ちよさそう......幸せの極み


愛♡愛♡愛。

あまりにも幸せそうなシューの姿を、母に見せてあげたくなりました。たぶん、みなさまからの無償の愛が理事長の寿命を延ばしているのでしょう。ありがとうございます。

もうしばらくはCHAZENのみんなを叱咤激励せねば......と、投げて打って、食って寝てがんばるそうです。

チームCHAZEN、しまってこうぜ〜!

とうとう19歳

きのう欧州出張中の星覚さんから連絡があり、急遽今朝30分ばかり随聞記購読会を行いました。時差があることや、ネット環境の問題があり、予定を決めることが難しかったのですが、きのうの夕方知らせたにもかかわらず、数名の方が参加してくださったのがありがたかったです。

随聞記の内容よりも、スイスにいる星覚さんが現地の道場を見て感じたことや、修行者の話にインスピレーションを得たことなど、ナマの話が聞けたことが何よりでした。

最近しばしば強く感じることなのですが、指導者にとっては外に出て刺激を受けることが自分自身を潤すために必要です。もちろん外に出なくても書物や、今ならインターネットを通じて刺激を受けることは可能なのですが、実際に五感から入ってくる刺激や、直接は関係ないと思われるディテールを含めての刺激には遠く及ばないでしょう。

コロナ以前から主に理事長マターで外に出られなくなった私は、自分が枯渇していくのを感じますが、それすらも自分で決めたことなので、まっとうしたいと思います。

ということで、まさかの19歳になった当学園の理事長です。

なんかもう毎年「まさか」と言ってきたので、もはや悪性腫瘍からの生還があってもさほど特別感がなくなっているような気がしないでもない誕生日です。

豆腐と芋と西瓜をあしらったバースデイめし


最近、理事長が小さいころから参考にさせてもらっていたトイプーの先輩が19歳7カ月で、そしてYouTubeで見ていたののちゃんが20歳4カ月で相次いで虹の橋を渡ってしまいました。目の前の目標を見失ったような気がして少しがっくりきているところですが、理事長はまだまだやる気マンマンで、突如やってきた猛暑をものともしない食欲を見せています。バースデイウィークということで、ちょっとフードを豪華にしているせいか、ご飯どきになるとフードボウルの前で待機して、ワン(まだかよ)! と催促まで。

腫瘍はその後再発の気配なく、昨年は状態のよいときでも月に一度はあったけいれんの発作も、もう5カ月近く出ていません。足腰が弱って頭から転がることが増えましたが、新しいプールのお部屋のおかげでケガのリスクも減り、そればかりか背骨の矯正的な、後脚の補助輪的な効果もあり、少し若返ったような......。

シャキーン!


ともあれ、無事この日が迎えられたことに感謝して、理事長には行けるところまでがんばっていただきたいと思います。

生きたらば、ただこれ生、滅きたらばこれ滅にむかひてつかふべし。いとふことなかれ、ねがふことなかれ。

正法眼蔵 「生死」より

さて、明日はさらに若返るであろうアレが待っています。
期待に胸ふくらませる今宵です。

ベランダコンポストでゴミ削減

ある日ある時、YouTubeに出てきたんですよ。コーヒーかすを使ったコンポストの記録みたいなやつがね。園芸関連のチャンネルをたまに視聴するからでしょうかね。関連動画にはダンボーコンポストとかバケツコンポストとか、牛乳パックコンポストまで出てきて、そのあまりのお手軽さにびっくり。

コンポストといったら、それなりの金額のする緑色の大きなコンポスターを庭に置いて......というイメージしかなかった私は、これなら私だってできると確信したのでした。そういえば昔滞在していたお家では、生ごみはただ庭の土の中に埋めてたなと思い出し、あまり難しく考えずにテキトーに試してみたのです。とりあえずやってみる体質なもんで。

まずは勝手にオレ流で、ダンボールの中に使わなくなったエコバッグ風の丈夫な袋を入れて、植え替えで出た古い土の中に野菜や果物のくずを入れてまぜまぜ。発酵させるので、ぬか漬けと同じくかきまわして空気と触れさせるといいそうです。米ぬかを入れるともっといいらしいのですがなかったので、いただいた百合根の袋に入っていたおがくずなんかを入れておきました。よい肥料を作るというよりも、ゴミの削減が目的なのでそのへんはどうでもいいのですがね。

キッチンにはコーヒーかすを入れたミニミニコンポスト的なうつわを置いておき、ちょっとした野菜くずなどはそこに入れておくと匂いも気にならず見た目も汚くないです。バナナの皮など大きいゴミが出たタイミングでまとめてベランダのオレ流コンポストに放り込んで、かきまぜて、最後に土をかぶせておきます。

まぜまぜしていると、以前のゴミがどんどん姿を消しているのが確認され、なんでもっと早くやらなかったのだろうと思いました。私はスイカeaterなのですが、あの皮ゴミやっかいですよね。うっかりゴミ袋に穴が空いてたりすると、ゴミ出しするときにたいへんなことに......。考えてみればあれを燃やすゴミに出すのは、ゴミ収集をする人にも、焼却炉にも、地球環境にも大迷惑なことです。私の出したスイカの皮ゴミで地球の温暖化が促進されたかと思うと、罪の意識にかられます。

そんなスイカの皮もコンポストに入れたら瞬く間に(数日はかかるけど)小さくなって、有機的な物質に変化するわけですよ。ゴミに出せば温暖化に加担するスイカの皮が、豊穣の大地に生まれ変わるのですから。こんな当たり前のことに気づかないで何十年もゴミを出し続けていた私。

私が出すゴミはそもそも少ないので、削減してもタカが知れていますが、みんなでやったら大きな力になるはず。東京都はもっと本気でゴミを削減する取り組みをすべきでしょう。都会は土自体が少ないので難しいのかもしれませんが、狭いベランダでもバケツひとつ置ければ十分できます。特別な費用もかかりませんしね。

オレ流コンポストの1号機は土がすぐ乾いてしまっていたので、2号機はダンボールではなくビニールの袋にエコバッグ風の丈夫な袋を入れる形で実験中です。1号機は別のダンボールに入れて熟成中で、次はこの土で植物を育てるという楽しみが待っています。

今のところ、生ゴミ入れても土をかぶせておけば匂いも出ないし、虫も寄ってきません。肉や魚は入れられませんが、卵の殻は細かく砕いて入れます。動物系の生ゴミがほとんどない私の場合、燃やすゴミを出すのは週に一度で十分で、犬のオムツがなければもっと長くていいくらいです。

マイナス面も取り沙汰されるYouTubeですが、社会貢献もしているんですね。自治体だけでなく、国を挙げてゴミを減らすための啓蒙活動をしたら、何かが変わるような気がします。今さらですが、あのステイホームのときにコンポストを普及させていたら、間違いなく爆発的に浸透したでしょう。

まずはお試しあれ。
(すでになさっている方、尊敬します!)


今朝のマイソール中ずっと寝ていた理事長。

生ゴミではありません


ベッドのカバーと一体化してるって言われました。

ふふふ、確かに保護色

オトナの印哲喫茶

先週末はマイソールをお休みさせていただき、ケータイも通じないようなアウトオブシャバにおりました。しかも疲労で朝から身体中パンパンにむくみ、頭もぼんやりして働かず、とても印哲喫茶で「正法眼蔵」の話などできそうにない状態です。

そうだ、今日こそ物静かに語ろう。
参加者が活発に意見を述べ合って、自分はただそれを静かに聞いており、ときどき質問があれば答える。

そんなイメージトレーニングをして臨んだ印哲喫茶でしたが、唯一にして最大の誤算は、そのイメージを維持できるほどの集中力に欠けていたことで、気づけばいつもどおりに喋り倒しているではないですか......。はぅ......。

でもね、嬉しかったんですよ。
正法眼蔵」の話が通じるまでに、このサンガが成熟したことがね。

ところで、これを「印哲」の括りにしていいのかどうか少し考えましたが、本日取り上げた「生死」の巻は簡潔に述べられているなかにもスートラで学んだインド哲学の時間の観念が入っていて、まさに印哲風味が散りばめられている。そういう意味でも、それ以外の内容自体からしても、学ぶ価値の高いものです。参加された人は配布したテキストを誦じて言えるくらい繰り返し読んで、一字一句を味わっていただけたら本望です。

何より、今回のテーマは、印哲喫茶を始めた最初から、これだけは伝えておきたいと思っていた、ある意味私からの遺言みたいなものです。伝える機会ができたこと、聞いてくれる人がいたことが有難きしあわせです(遺言と言っておきながら第二弾を企画しそう......)。

仏教とか禅と言っただけで敬遠する人が多いのですが、抵抗を感じながらも来てくれた人たちが何人かいて、その抵抗感が和らいだのを見て安堵しました。煩悩が深い人ほど、いったん信仰して修行を始めたら悟りが近いとか。同様に、抵抗がある人ほど、その距離がいったん縮まったら到達は早いのかもしれません。

そんなオトナ向けの印哲喫茶から転じて、7月の印哲喫茶は「印哲的若者」を対象にした「ヨーガ・スートラ」の入門クラスを行います。聞き齧っているようで実はよく知らないアシュタンガヨガ(ヨガの八支則)について、まったく知識のない人を対象に話しますので、どなたもお気軽にご参加ください。

いよいよ今週土曜日に19歳になられる理事長@new執務室。

このグルがいてこそのCHAZENでございます

触れ合いがもたらすもの

昨日の漢方養生ヨガは、癒し系の内容てんこ盛りの「ヒーリングサロンCHAZEN」でした。和気藹々とした楽しい時間でしたが、ヒーリングサロンで最後にお茶が出てくるようにシャヴァーサナのあとでティータイムにしたら、みんなぽわーんとして無言。ひたすらハトムギをかじるポリポリという音だけが響いていました。

盛りだくさんになったのは、先だってオキシトシンのことを書いたおりにマッサージ的な要素を取り入れたいと考えたのです。そこで思い出したのが簡単な触れ合いのケア法。もうずいぶん昔に講習を受けたことがあるのですが、マッサージというよりはやさしく撫でたりさすったりするものです。これこそまさに愛情ホルモンが出そうだと。

そこで背中や手の指などいくつかの簡単な「タッチ」をペアになって実践していただきましたが、する方もされる方もとてもよい気分になり、血流が促されたとのことでした。オキシトシンが活発化したのは間違いないでしょう。

理事長の寝顔にも癒されましたしね。

寝息の効果音もなかなかのものでした


長い間すっかりこの触れるケアのことを忘れていました。今こそこういう触れ合いが必要な時。人と接触したり、話したり、笑い合ったりすることをがまんするのは、感染のリスクに比べたら大したことないと思っていましたが、知らず知らずのうちに心が蝕まれていたような気がします。

先月、親戚が神楽坂に来てくれて、80代の叔母ふたりと50代のいとこと私で女子会をしました。ランチしてスイーツ食べて、たくさんおしゃべりして笑い転げたのですが、そんななんでもないことがとても貴重な有難いことに感じられましたもの。

そして先日は、ヨガスタジオ時代の仲間が来てくれて、これまた昔の思い出話に花が咲き、大笑いしました。いい環境で楽しく仕事できてたんだなあとちょっと惜しい気持ちになりました。現場はすごくよかったんですよ。現場はね。

ずいぶん前のことなのに、まるで昨日のことを話すようにリアルで、でもみんな固有名詞が出てこなくて「誰だっけあの、ほら**が〇〇だった......」みたいな。でも、名前は出てこないけどちゃんと通じていて、同じ人やものを思い浮かべているんです。楽しかったなあ。

何より、シフォンケーキを焼いてきてくれたり、野点のお道具を持参してくれてその場でお茶を点ててくれたのには感激しました。そういえば、いつも心のこもったものをくださる人たちだったと、今さら気づいて、ぼーっとしてロクなおもてなしもしなかった自分を恥じ入りました。

出張お茶会。

なんてステキでぜいたくな時間......


まだまだ油断は禁物ですが、ナマで人と触れ合う時間を、失われた自分を少しずつ取り戻していきたいですね。

この夏はリラックスクラス多めをもくろんでいます。7月10日には久しぶりに混じり気のない陰ヨガをお届けする予定です。

梅雨と漢方薬

以前はここまで梅雨をうっとうしいと思っていなかったような気がするんですけどね。ここ数年の長梅雨&大雨、それに伴う湿気、そしてまたとんでもなく蒸し暑い夏がやってくるのかと思うとうんざりします。

そんな折、ちょっと気の重い用件ができまして、それを果たしに出かけた帰りに「どうぞお持ちください」とバケツに入れた(剪定した)紫陽花に出合ったのです。「これで気分を直してよ」とでも言うようにそこに置いてありました。どんよりした気分が一瞬で帳消しになったことは言うまでもありません。

紫陽花は梅雨のうっとうしさを紛らすためにこの時期に咲いてくれるのかもしれません。

私ばかりかCHAZEN生の心も和ませてくれる


ニュースサイトを見ていたら、梅雨時の不調「気象病」に関する記事が出ていました。悩まされている人がいかに多いかということです。記事の中ではストレッチやマッサージの方法についても紹介されていますが、「症状がひどい場合には外来で漢方薬などを処方してもらうことも有効」とあり、こういった病気未満の症状には漢方が有効だということがかなり認知されているとわかりました。

お医者さんもさまざまなので一概には言えませんが、漢方に詳しい先生でなくても、自分に合う漢方薬(方剤)がわかっている人はそれを伝えればわりとすんなり処方してもらえるようです。ポピュラーな方剤であれば、医療用のエキス剤が保険適用になりますから、特に長期で飲んで体質改善したい場合などおすすめです。

www3.nhk.or.jp


さて、身体の中に余分な水が停滞するというのは、6月〜9月ごろまで毎年不調になる私自身の問題でもあります。ただ私の場合は湿気よりは気温の影響が大きいため「半袖症候群」と勝手に命名しています。気温が高くなると心臓の働きが悪くなり、そこに湿度の問題がからんでくるとみています。

今年こそ漢方でこの不調を乗り切るべく、すでに作戦と実験を開始しているのですが、今のところ滑り出しはいい感じです。不調が出るなり間髪を入れず漢方薬で対処しているからです。

先日は思い当たることがないのにお腹が痛くなりました。症状や舌の状態からして「湿」のしわざとにらみ、早速買い置きしてある漢方薬を煎じて飲んでから寝たところ、翌朝にはもう復活。あやうく調子に乗って朝から食べ過ぎそうになるほどの効き目でした。

しかも、出がらしを捨てるのがもったいないので二番煎じをとり、それで犬のフードをふやかしてあげたせいか、犬が夜中に起きてソワソワ。でも、バナナをあげたら満足してすぐに寝ました。どうやらお腹が空いて目が覚めたようなのです。

その漢方薬六君子湯」は食欲不振に効く方剤です。いつも食欲のある人や犬はさらに食欲が出てちょっと悩ましいかも。

こちらが食欲不振になったことのない犬です(徘徊中)


そのほか利尿作用のある方剤では如実に水分が排出されるのを実感したり、夕方からくしゃみや鼻水がひどく寒くなってきたので寝る前に葛根湯を飲んだら発汗効果が著しく、夜中に2回も着替えなければならないほどだったり。グッドチョイスだったかどうかはさておき、何かしらの反応があらわれるので実験は楽しいです。

以上、今度の漢方喫茶がショートバージョンになったので、イントロをここで述べさせていただきました。続きは12日に。

愛情ホルモンの漢方薬

近ごろは、お医者さん向けの漢方講演会(オンラインで)に潜入して、実際の臨床でどの方剤がどのように使われているかなどを学んでいる。それで感じたのだけど、けっこうな割合で先生方が西洋医学マインドセットのまま、西洋医療の枠組みの中で漢方を使っているような気がする。

さらに推測されるのが、大方の先生は「よくわからんけど、これ出しときゃ大丈夫でしょ」的に無難な方剤を出しているのではないか。とはいえ、病気に対するそもそもの考えが違うのだから仕方ない。ちゃんと基礎から勉強しないと理解できないけれど、興味も時間もないのが実情なのだと思う。それでも、たとえ小手先の処方であっても、ちゃんと漢方が効果を発揮してくれるので、ますます漢方を使わざるを得ないのだろう。

このような「現場」が見られるのも勉強だから聴くだけ聴いておこうと、先日も開講時間をまわったころにだらっとZoom inしたところ、一見して興味をそそられ居住まいを正して真剣に聴いた。漢方薬の化学的な作用についての講演であったからだ。

オキシトシンという神経伝達物質をご存知だろうか。

このオキシトシンは、分娩から授乳、信頼関係、母性本能などの母子関係に重要なホルモンで、マウスを使った実験では、通常母マウスは生まれた子を引き寄せて授乳し、外界の敵から守り、本能的な愛情を注ぐのだが、オキシトシンを除かれたマウスでは子に無関心でケアをしないことが確認されているそうだ。ヒトの場合もお母さんから愛情を注がれた子は、安心し、リラックスして、自身も愛情たっぷりな母になる。

オキシトシンは愛情ホルモン、幸せホルモンとしていま注目されている。セロトニンとちょっと似ているようにも思ったのだけれど、自閉症から骨粗鬆症から、さまざまな疾患に応用されて効果をあげているのだそう。

オキシトシンには食欲を抑えて肥満を改善する効果もあるそうだ。プレゼンターの先生が勤務される福島では震災後肥満になるケースが増加している(いわゆるストレス太り)が、肥満であればあるほどオキシトシンによる改善効果が高いという調査結果が確認された。心が満たされていたら必要以上に食べなくてもよくなるのは自明の理である。

さて、ここからが漢方との関連になるが、研究チームでは、オキシトシンの作用が漢方薬の「加味帰脾湯」の効能に似ていることに気づき、これまでにさまざまな実験をおこなってきた。その結果、加味帰脾湯の投与によって脳の視床下部にあるオキシトシンニューロンを活性化させることがわかった。

さらにどの生薬がその効能を発揮しているのかを他の方剤と比較しながら調べたところ、「大棗(なつめ)」や「当帰」「生姜」などでそれが確認された。とはいえ、大棗だけでは効果は弱く、他の生薬との組み合わせである「加味帰脾湯」でその効果が大きくなるという。加味帰脾湯において大棗はメインの生薬ではないので、やはりこの組み合わせが効果を引き出す鍵を握っているのだと推測される。

やっぱりね、と思った。漢方薬はこの配合こそが大発明なのだ。生薬自体は自然界にある植物や鉱物などであるが、それを微妙な匙加減で組み合わせたときに、各自の能力を超越した力を発揮するという、いわばチームプレーのなせる技。そのチーム編成を考えたのが古代中国のセンセイ方なのだから恐れ入る(加味帰脾湯は中世の処方だけど)。

現在、漢方相談で加味帰脾湯を服用してもらっている人がいるのだけれど、いくつか服用した方剤のなかでもっとも効果を感じているらしい。いつもメールに「帰脾湯」と書いてくるのは、癒しのホルモンを体感しているのからなのかもしれないな。

ところで、漢方薬を使わずともこのオキシトシンニューロンを活性化する方法がある。

母親が子どもにマッサージしてあげると、子どものオキシトシンが増加するだけではなく、マッサージをした母親のオキシトシンも増加するのだそう。

ちなみに、子どもの夜泣きに使う「抑肝散」は、母子相関でお母さんも一緒に飲むといいらしい。うちの老犬が「抑肝散加陳皮半夏」飲んでいたとき、私も飲むべきだったか。

母子という観点で考えれば、抱きしめたり、チューしたり、手足をぷにぷにしたりするのもぜんぶストレスを軽減する効果があるのだろう。考えてみれば、コロナ社会ではオキシトシンが著しく不足しているから、積極的にオキシトシン増量作戦を実行したほうがいい。

たとえば、ペットと見つめ合うのもオキシトシンニューロンを活性化するそうだ。ペットを飼ってない人でも、CHAZENに来ればもれなく活性化できるよ。ペットでなくても、見返りを期待しないような心地よい関係があれば、一緒にいるだけでも活性化するような気がする。

CHAZENのスートラクラスなんかめっちゃ活性化されそう(うしし、明日だ)。

そうと知ったからには、12日の漢方養生ヨガでオキシトシンが増加するようなメニューを盛り込むことにした。テーマは除湿なので、梅雨時や夏に心身の調子が崩れる人はもちろん、ストレスを感じている人もぜひご参加ください。なお漢方喫茶のみの受講も可能ですが、時間を短めに変更しましたので、漢方養生ヨガからのご参加をおすすめします。

見つめ合って、オキシトシンがドバドバっ〜。

向こうからは見えてないけどね