朝3時半ごろ外に出たら、うっすらと雲がかかった空にぼんやりと明るい光。きのうは満月だったけどまったく月が見えなかった。そのうち少しずつ雲が切れて、ところどころの雲間から星が見えた。シューさんの脚を拭いていると、木々の間にまんまるお月さま。ほんの3分ほど前には見えなかった美しい月が、それだけでこの世はすばらしいと思わせるような輝きを放っている。
もし今絶望の淵にいたとしても、この月を見たら生きる力が湧いてくるだろう。ふと、そんなことを思った。
地球上の人々がコロナだなんだと騒いでいることなどおかまいなしに、宇宙はその営みを続けている。生まれる星もあれば滅びていく星もある。物質世界は延々とそれを繰り返している。私たちはその中でほんの一瞬のいのちを与えられた小さな生物だ。
大地は俺たちのものじゃない。俺たちが大地のものなんだ
ちょっと前に見たドキュメンタリー映画で聞いた言葉にひどく納得した。
悩んだとき、何かがうまくいかないとき、自分中心にものごとを見ている。そこには<私>という視点しかなくなっている。<私>が何かを所有していると思っている。
自然の美しさにはそんな小さな<私>を黙らせる力がある。そのあとの坐禅は久しぶりに爽快な一炷であった。
東の空がオレンジ色になるころ、シューがめずらしく早めに起きてきたのでサンデーパークを目指す。
麓から靄が上がってきている。
木々の向こうから太陽の光。
わずか5分の間に山は薄いベールに包まれていた。
グルはいつもすぐそばにいて、静かに、何の言語も使わずに導いてくださる。