CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

のどが詰まりは気の詰まり

八ヶ岳に行く何日か前だったと思うのですが、食後のどに何かが引っかかっているような感覚がありました。実際に物が詰まっているわけではないのに詰まっているかのようなこの症状を経験されたことありますか?

痛くも痒くもないのですが、スッキリしないので実に不快です。咳払いしてみてももちろん何も出てきませんし、何か飲んでもつかえた感じは取れません。具合が悪いわけではないけれど、とても気になります。

でも、心の中ではニヤリ。

この喉のつかえ感は漢方でいう「梅核気」というもので、いつかこれがやってきたら試そうと思っていた漢方の出番だからです。「梅核気」とは、文字どおりに梅の種が詰まっているような症状のことです。西洋医学的には逆流性食道炎に近いものでしょうか。胃と食道の間にある弁の働きが悪くなり胃酸が逆流するそうですが、この働きは自律神経でコントロールされています。つまりはストレスが原因になるということです。

お試し用に買ってあった漢方薬をさっそくクツクツと煎じて飲んでみました。なんとなくよくなったような気はしましたが、翌日食事をしたら、再びつかえ感が出て、それからもずっと続いていました。漢方薬は1日飲んだだけでその後は様子を見ていたのですが、八ヶ岳から帰ってきたら治ってました。

正確に言うと、直後は忘れていました。転地療養の効果とかここにも書いていたのに、梅核気のことはすっかり......。思い返してみると、現地で最初にほうとうを食べたのですが、カボチャとかジャガイモがスライスじゃなくてごろっとしたまま入っていて、芋好きではない私はそれだけでお腹パンパンになってしまいました。が、のどの詰まりはなかった。

帰ってきてからは、風邪のひきはじめのような寒さがあり(早朝冷たい風が吹いていたのに首元スースーのまま歩いていた)、葛根湯だ半身浴の長風呂だと防御策に奔走していたので、一方で治っていた症状があることに気づきませんでした。はっと気づいたのはどうやら風邪を引かずに済んでほっとした後です。

漢方ではこういったストレス症状を気の滞り=「気滞」といいます。生理的には気はつねに身体中をめぐっているわけですが、何らかの支障があるとこのめぐりが悪くなってしまう。よく「気が塞ぐ」「気が詰まる」と言いますが、まさにそれは気滞のことを指しているわけです。つまり、梅核気の正体は「気」なのです。目には見えないけれど、めぐらない気がのどに詰まっているというわけです。西洋医学的には自律神経の働きが悪くなった状態です。

私の気が詰まった原因はわかっています。これまでになく東京暮らしの閉塞感を味わっていたことや、考えすぎて頭が疲れていたことをはっきりと自覚していました。

そういう病いですから、漢方薬よりも八ヶ岳薬のほうが効いた。数年前に八ヶ岳で不調がコロッと治ったのも、たぶん同じ東京病(あるいは山に帰りたいハイジ病)だったのではないかと思います。

言ってみれば「気滞」というのは「気」のせい(仮病?)なわけですから、気分転換が何よりの薬なんですね。ただし、仕事や人間関係など長期にわたって積み重ねたストレスで体調を壊した場合はそう簡単に治らないので、呼吸法やアーサナ食養生漢方薬などを組み合わせた「養生」が必要になります。

逆に言えば、ストレスを溜めずに日々の養生でチャラにしておけば、ちょっと不調が出てもあっさり治るともいえます。とにかく掃除は毎日することです。汚れはためないこと。

というわけで、明日から独り坐禅断食です。今年こそ、漢方養生で夏の不調を克服しようと思っているので、気温の上がり始めた今から前哨戦が始まります。いざ!

それにしても、漢方の基本である陰陽五行の考えはめっちゃおもしろいですよ。5月8日の漢方喫茶では、その「おもしろさ」にフォーカスして漢方に親しんでいただこうと思います。眠くならないように、参加者にも手を動かしていただくようなワークを考えていますので、どうぞ気軽にご参加ください。

www.chazen.yoga


ちなみにこの日の喫茶でお出しする漢方茶は、気をめぐらせるオリジナルブレンドティーの予定です。お楽しみに。


腰元のマッサージを受けて悦に入る殿。

モゾモゾしてるっぽい前脚に注目