北鎌倉からスタートした、なんなんの鎌倉散策会で、最初に立ち寄ったのは東慶寺でした。
小さなお寺、そして、自分も行ったことのないお寺を一緒に拝観したいと思っていたので、敢えてこの日まで拝観するのをがまんしておりました。事前にウェブサイトで下調べなどもしませんでしたが、かつて縁切り寺であったこと、写真撮影が禁止されていることは知っていました。
東慶寺は臨済宗円覚寺派のお寺です。そういった情報や由来などが書いてある案内板の前で、鎌倉は曹洞宗はほとんどなく臨済宗のお寺ばかりである理由についてひとしきり述べたあと、階段を上って茅葺の小さな山門をくぐり抜けると、左右に梅の花が咲く石畳。石像の前には竹筒に生けた花が侘びた風情を醸していました。
ギャラリーになっている土蔵の中にいらした聖観音さまが美しく、日参したくなるお寺です。帰ってきてからウェブサイトの「お知らせ」ページを見たところ、拝観料がないのも、写真撮影が禁止になっているのも、住職のはからいだったようです。
写真撮影を禁止にしたのは、スマホの普及で何でもとりあえず撮る風潮へ一石を投じるということでしょう。これは私も同意見ですが、同時に自分のすぐ撮る態度への警告でもあると思いました。撮る前にちゃんと眺めているか。ちゃんと拝んでいるのか。東慶寺はステキな対象ばかりで、撮りたい気持ちが湧いてきますが、写真は心のアルバムにファイルしておきました。
拝観料を廃止したのは、コロナで閉門しているときに、ある教会の扉がいつものように開いていて、いつでもお祈りができるようになっていたのを見たのがきっかけだったそうです。ありがたいことです。お寺の住職になることはないであろう、ただの雲水の私ですが、もし自分のお寺があったならの妄想をすれば、やはり誰もが気軽に入れて、心を調え、学びや気づきが得られるお寺にしたいものです。
次に参拝したのは同じく円覚寺派の浄明寺。
今住んでいるところから北鎌倉に行く通り道にあって、手前の伽藍はよく見えるため、通るたびにソソラレていました。実際に入ると奥はさらに魅力的で、茅葺の建物が晴天によく映えていました。

竹細工などで茅葺の空間を乱さない演出がされています。参加のみなさんは、口々に鎌倉フィルターがかかって何でも超すてきに見えるとおっしゃっていましたが、フィルターなしでも実に趣のあるお寺でございました。
浄明寺を出てからは、私が「裏山」と称しているハイキングコースに入ります。途中、富士山スポットである葛原岡神社にお参り(縁結びの祈願をした人も)。富士山は見えたけれど、山頂が降雪中でちょっとだけ残念でした。
遠足なので、源氏山公園でお弁当をいただき、梅の花の匂いを堪能しつつ、長谷まで2キロほど山道を歩きます。

大仏周辺で舗装道路に出て、観光客の歩いていない路地を歩き、由比ヶ浜通りの空間も器もよくできたカフェでお茶。
修行中、私があまりに悪筆なので御朱印などとても書けず、ハンコを押す係しかできなかった話などしていたら、某嬢いわく、
大丈夫ですよ。「なんにもならんっ」とか書いたら、絶対喜ばれますよ!
そうか、そのテがあったか......。寺院勤めも夢じゃないかも。そういえば、かつて、こんなこともしていましたわ。
カフェを出たあとは、由比ヶ浜経由で鎌倉駅まで街歩き。駅で某嬢が確認した万歩計は「一万六千歩」になっていました。はい、よく歩きました。歩くって楽しいですね(まわりにランナーがたくさんいますが、走る気はまったくない私です)。
寒波のおかげでお天気もよろしく、我ながらなかなかよいコース取りだったと思います。定番を外しておきながら、さまざまな貌をもつ鎌倉のよさを満喫できました。以前の私であれば、食べることや小物を買うことに夢中になっていたでしょう。そこから離れても底なしに楽しめる鎌倉です。
連休中で人が多く、リスたちはいつものように見られませんでしたが、某嬢が1匹だけ見かけたリスの撮影に成功。むむ、やるなあ。
