今朝5時半ごろ散歩に出かけたら、向こうから見慣れない犬を連れた人が歩いてきた。手に赤いものが光るなにかを持って、谷のほうへ向けている。「ヤバい人かも」と警戒する。
ちょうどシューさんがうんをなさったので、それを片付けながらいったん敷地内に戻り一拍おいてから、再び道路に出ると、
「おはようございます」
ヤバい人にはあるまじき、めっちゃさわやかなご挨拶だ。
「クマを見ませんでしたか?」
「いいえ。クマが出たのですか?」
「ええ。おそらくもう抜けたと思いますが、気をつけてください」
「はい」と言って歩き出し、振り返って写真を撮った。
と、機械がピッピッと鳴り始め、おにいさんは急いで分校の庭を横切り、もじゃもじゃ林の中へ駆けていった。
なんだかテレビドラマのできごとのようなシチュエーション。
テレビドラマっていうか、たとえて言うならウルトラ警備隊がやってきて「このへんに怪獣が出ましたのでお嬢さん気をつけてください」的な。
(ええ、ドラマの中ではワタクシお嬢さんですとも)
もしクマが出たのであれば地元のハンター(おじさん)がライフルかついで探すんじゃないか?
ってか、あの人クマのいる方向に駆けて行ったけど、丸腰で大丈夫なのか?
で、あの犬は?
頭の中に?をたくさん灯しつつ、クマが出た場合のことを考えながら歩いた。シューと一緒に山を歩いて17年、それはすでに想定済みである。
クマに遭遇したら、シューを差し出して「この犬を差し上げますから私の命は助けてください」とネゴシエーションするのだ。
帰ってきてから、本当にクマが出たのかと出没情報をチェックしていて気づいた。あれはたぶん星のやにあるピッキオの犬ではないかと。見覚えのある犬。
果たして、そうであった。
改めて読んでみると、ピッキオではクマがヒトと距離を保ちながら暮らしていけるよう活動をしていることがわかった。すばらしい活動だ。それなのに私ときたら、かなり疑ってしまった。アヤシイ機械と見えたアレはクマに取り付けた電波の受信器だったのだな。クマが出没したら撃たれると想像した私はかなり遅れている。
排除する前に共存する方法を考える。害をもたらす野生動物だけでなく、人と人、国と国でそうあってほしい。
今日も蚊をパッチンした私だけれど......。