CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

インド思想の読書案内 <プレ入門編>

ずいぶん前に、仏教について学ぼうと思い買ったのが『ダライ・ラマの仏教入門』という本でした。仏教のなんたるかがまったくわかっていなかったころです。ダライ・ラマというだけで選んだのですが、入門なんてとんでもない。初学者にはいきなり十二支縁起などと言われてもさっぱりで、仏教が本一冊読んだだけでわかるようなものではないということだけが理解できました。入門書がやさしいとは限らないのです。

仏教の前に存在していたインドの思想から、現代の仏教やヒンドゥー教、あるいはヨーガに至るまでには、さまざまなものが分かれ、広がり、また重なり合い、複雑に発展(あるいは衰退)していった背景がなんとなくわかると、イメージしやすいのではないかと思います。

そこで、最初は気軽に読める「プレ・インド思想入門」を、本編はまた改めてアップしたいと思います。

まずは昨日予告したアレから。


『からだは星からできている』佐治晴夫著 春秋社

宇宙についての研究をしている著者が、宇宙科学を宗教、哲学にからめて、存在の根源から存在の意味、存在としてのありよう(生き方)について語っているものです。

インド思想が生まれたのは、この宇宙がどのようにできたのか、私とは何か、という疑問があったからだと思いますが、それが哲学のはじまりにつながります。

現代科学のさまざまなデータの裏付けから、宇宙のはじまりは何かのきっかけによって均一な状態から電波のゆらぎが発生したことで生まれたと推測されるそうです。それを読んで、サーンキヤ学派の考える、3つのグナの平衡状態が崩れたことによって現象界が流出したという説をが思い出されました。現在では科学の力で解明されつつある宇宙誕生のナゾを、古代インドの人はかなり解明していたのかもしれません。

パソコンやスマホがあたりまえになった現代の私たちからすると、電気も通っていなかった古代人の知恵に感心することしきりなのですが、宇宙的な時間の観念から見れば、紀元前のヴェーダの時代の人たちと今の私たちは「同時代」の人たちなのです。コロナ収束まで数年かかると言われてがっかりしているその数年など、宇宙時間で考えれば一瞬(またたき)にもならないほどの、とてつもなく短い時間なんですね。

しかし、そんな小さな星のひとかけらにすぎない<私>は、この宇宙の一部であると同時に宇宙そのものであるわけです。といったら、アヤシイ響きが立ち上ってくるかもしれませんが、科学的に見てもそのようなのです。

小さな星のひとかけらである私たちが、ほんの瞬く間の一生をどう生きていくべきなのか。
あたたかいまなざしでそれを示してくれる良書です。



そのほか読み物としては、過去に紹介した以下の本がおすすめです。

文学として、小説として楽しめる、ヘッセの「シッダールタ」

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漫画なら挑戦できそうな人には手塚治虫の「ブッダ

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禅とはなにかを自らの体験から語る、星覚さんの「坐ればわかる」

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