CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

十一面観世音めぐり

奈良に来てからメキメキ元気になりました。ごはんが食べられるようになったのが、いつもの私に戻った合図です。宿に着いてすぐ「うどん」とGoogleマップに入れたら、すぐ近所に釜揚げうどんの店があり、おいしい手打ち麺と出汁が細胞の隅々にまで沁み渡りました。

翌日はさっそくチャリで奈良市内の仏像めぐりに繰り出しました。期待に胸を膨らませて、今回初めて行ったのが奈良博物館の「仏像館」。

確かに美仏にお目にかかれたのですが


どうやら期待が大きすぎたようです。トーハクに行ったときのような気分の高揚がありません。さらに2箇所の寺院を回りましたが、ちょっと肩透かし、でした。

こうなったら......と、乗り心地のよくないママチャリを漕いで平城京趾まで行き、スケールの大きいタイムスリップ感を味わって、満ち足りた気分に持ち込み、雨が降り出してきそうなところをさらに唐招提寺まで足を伸ばしました。

というのも仏教伝来に思いを馳せるとき、必ず「若葉して 御目の雫 ぬぐはばや 」の句を思い出すのです。それで鑑真さまにご挨拶をしておこうと思いました。しかし、そこで句碑を見て気づいたことに、私はずっと「御目の雫」を「御目の涙」と間違って覚えていたのでした。「御目の涙」なんてダサい言葉を芭蕉が詠むはずないやん! と自分でツッコミながら、記憶というものがいかに曖昧で不正確であるかを思い知らされたのでした。

間違って覚えるなよ はせを


翌日は交通の便が悪いいくつかのお寺をレンタカーで回るという、今回のメインコースです。前回2011年に来たとき、次に来たら絶対車でまわろうと心に決めていたのでした。その大本命は「室生寺」。そもそも辺鄙なところにありますが、だだっぴろい駐車場に車が1台停まっているような静けさです。今回はオフシーズンのためか、どこのお寺もほとんど人がいない。東北はすごく人が多かったことを思うと、かなり意外です。「ザ・日本」である奈良のほうが静かなんて......。もちろん、人混み嫌いの私にはありがたいことで、ほぼ独占状態で仏様の美しいお姿を拝見できたのでした。

大本命だけあって、やはり室生寺の十一面観世音は最高でした。その後、長谷寺聖林寺とまわりましたが、個人的な好みは絶対的に室生寺の十一面観世音。それは論理的なものを超えて、ただそう感じるというだけの話なのですが。

女人高野といわれるだけあって、奥之院まで山深く上っていく感じもまた私のツボにはまります。

結局は人里離れた山が好きなのだった


こういう体験をすると、やはり仏像は、博物館ではなく本来置かれていた場所で拝見したいものだと感じます。単なる美術品ではないのですからね。

3つのお寺を回ってランチをいただいても、まだ時間に余裕があったので、翌日に予定していた法隆寺方面のお寺3箇所も車で回ってしまうことにしました。

三輪そうめんとたけのこご飯、吉野葛の葛餅のランチ


レンタカーは偉大なり、です。
前回、夏の暑い日に来て無限に長く思えた法隆寺の参道なども、車だとかなり楽でした。

これで13年越しの願いが叶い大満足です。日本にはまだ見ぬ素晴らしい場所が多くあり、行ってみたいところもたくさんありますが、私が心から願っていたのはこの奈良の旅だけと改めて気づいたのでした。

古いブログにその思いを見つけようと思ったのですが、意外と書いてない。極めてパーソナルなことだし、共感を得られる気がしなかったのかもしれません。唯一書いていたのが、手袋をなくしたときの話。

chayoga.exblog.jp


このとき買い直した手袋は今回の旅にも持って来ており、チャリで回ったときには大活躍してくれましたよ。

久しぶりにこってり私的な内容になりました。読んでくださってありがとうございます。

つづく