充実のCHAZEN的3連休
海の日の3連休は、土曜がオンライン随聞記の会、日曜がアーサナWS、月曜が呼吸法〜瞑想の特別クラス3本立てで充実した3日間となりました。
「正法眼蔵随聞記」は、終盤にきて道元禅師の教えが明確に伝わりやすい内容になっているように思います。現代の、しかも出家していない私たちにとっても大いに参考になるテーマが続々と出てきます。
今回読んだうちのひとつは、師の教えが自分の考えに合わないと思っても「しばらくは」その教えに従ってみなさいというものでした。師の教えに自分の判断を入れず従うという態度は、東洋思想ではたいへん重要視されることですが、ここで気になるのが新興宗教のことです。世にインチキグルや金銭巻き上げ系の団体は多くあるので、素直に従うことが悲劇を生む場合もあります。
ちょうど今、その話題が取り沙汰されています。私はつい、件の母親が心のよりどころを求めた先が永平寺だったらなあなどと妄想をしていたのですが、それに対して、「もし、その人が永平寺に行ったとしても、あちらを選んだと思う」とコメントされた方がいて、おっしゃるとおりだと思いました。
ほんとうに。
それがカルマ(業)というものです。インドには今世だけでなく前世、前々世からのカルマ(行い)で運命が決められるという考え方があります。盲亀浮木のたとえのとおり、仏教の教えに出会ったこと、ヨガの道に出会ったこと自体がすでに過去からの善のカルマの結果なのですから、それを無駄にすることなく、時を無為に過ごすことなく、プラクティスを続ければいいわけです。こっちの道に導かれたということそのものがすでに善のレールに乗っている、救いの手が差しのべられているのです。
安心して従ってよい師に出会えるかどうかもカルマ次第で、それはもう直観(あるいは運命)でしかないのかもしれません。そしてその直観を磨くのがヨガであり坐禅だとも思うのです。
日曜日のアーサナワークショップは、意図したとおり、終始笑い声の絶えない、楽しいワークショップでした。
修行風味なくして思いっきりアーサナを楽しむ企画ですから、前半だけはちゃんとアラインメントやらポーズのポイントなど役に立つ内容を盛り込みましたが、後半はさまざまなアームバランスポーズにチャレンジしてもらいました。アシュタンガだけやっていると、一生チャレンジできないポーズが山のようにあるわけです。でも、ちゃんと手順を踏んで行えば安全にチャレンジできるポーズもあるのです。
8月の第2回はハムストリングスと股関節周りをじっくり開きつつ、さまざまなポーズにチャレンジします。
そして本日の呼吸法〜瞑想のクラスにも多くの方にご参加いただきました。2回3回と慣れるにしたがって、呼吸がスムーズになり、顔つきも穏やかで落ち着いた状態になっていることが外から見てもわかります。来月は初のlevel2クラスも開講しますので、ご都合に合わせてご参加ください。
練習生のシャヴァーサナを見守る理事長。
珍獣出没とWSのことなど
今朝4時半ごろ、ベランダに干してあるぞうきんを取りに行ったら、アライグマのような、タヌキのような物体が電線の上を歩いているのが見えて頭が混乱した。
山の分校にいるときは早朝キツネだとかテンだとかに遭遇したけど、ここは緑あふれる郊外ですらないビルの谷間だ。
急いでiPhoneとってきたら、すでに電線を渡り切ってしまったので、ヘタ絵で図示。矢印の方向に歩いてきたんよ。
隣の屋根に登ってくるかなと見てたらやっぱり。
その歩き方が、何をも警戒せずマイペースなの。「毎日ここ散歩してますけど何か?」とでもいうような雰囲気でゆったり歩いている。
屋根の端まで行ってから、猫みたいにブロック塀の上を歩いて消防署のほうへ。
検索してみたら、ハクビシンだって。23区内でも目撃情報がけっこうあるらしい。そして被害もけっこう出ているらしい。東京のネズミやカラスはおいしいもの食べて肥えているけど、このハクビシンも神楽坂でグルメ生活を送っているので大きいのだろうか。
さて、マイソールが終わり、洗髪したての毛がふわふわだねとお姉様方に可愛がられていたシュー理事長。
触られているうちにどんどん毛が逆立っていって、こんなヘアスタイルに。
湿気の多い時期でも烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)になるんだわー。
と、烏枢沙摩明王で旧ブログを検索したらコレが出てきた。
そうだった。
5年前の今ごろは、手を腰に当てることも、ポケットに手を入れることもままならなかったんだ。ヘッドスタンドができるようになったのはこの10ヶ月後。あのころは、そうやって一つずつポーズができる喜びを味わっていたんだった。
それが、ある時点から(いつかは忘れた)骨折以前と同じようにアーサナ練習することを目指さなくなった。あきらめたのではなく、ある意味アーサナを卒業したような境地かな。17日のワークショップのテーマであるアームバランスのポーズは、かつて私が好きで比較的得意としていたものだけれど、今はもうできない。
が、当日は「アームバランスの苦手な人が、努力してなんとかできるようになった」風なデモンストレーションをお見せして、「あ、あんなんでいいんだ」と参加者を安堵させようかとねらっております。
申し込んだ人が戦々恐々「どんなことするんですか?」と聞いてきたけど、そもそも私にできることが限られているので、そんなサーカスみたいことはやりませんからご安心を。でもハクビシンの綱渡り(電線渡り)はもう一度じっくり見てみたいな。
今のところ、シリーズの続きは8月がヒップオープニング(股関節系)、9月がインヴァージョン(逆立ち系)とイメージしており、その次は本来ならベックベンド(反り系)なのだけど、これは何度もWSしているので別のものにするかも。
珍獣も楽しみにお待ちしてます。
非暴力とは......
動物を殺生しないだけでは十分でないこと。
不正と信ずるものでも害してはならないし、怒ってもならないし、かえって愛しなければならないこと。
それゆえ、親でも政府でもすべて圧制者には反対すべきであるが、圧制者に害を加えてはならない。かえって愛をもって圧制者に打ち勝たなければならないし、そして圧制者に打ち勝つまでは、圧制者の意志に服従せず、そのためには死の極刑さえも甘受しなければならない
たまたま、今日読んでいた『講座 東洋思想 1 インド思想』東京大学出版会 に書いてあったガンディーのことば(以下も同書より)。
非暴力ということは、不正や悪に対して現実の一切の闘争をやめるということではない。逆に、わたしの考えでは、それらを結局拡大させるような単なる抵抗を企てるよりも、さらに積極的で着実な現実的闘争が必要である。それらと闘うためには、精神的な人道的抵抗でなければならない。尖鋭な剣で衝突するのでなく、相手のその物的反動の期待を誤らせて逆に相手の剣を完全に鈍らせるのである。みずから押した抑圧から退くわたしの精神的抵抗を見て、相手は幻惑し、躊躇し、果ては屈服を余儀なくするであろう。これは相手に侮辱を与えるものではなく、かえって相手の精神をも尊重するものであるから、万人ひとしくこれを理想として支持することであろう。
続きは、24日の印哲喫茶で。
ガンディーが「殉教」した場所(ガンディー記念館にて)。
元気なのでアーサナWS
毎年夏は別人になったかのように具合が悪くなる私ですが、今年はなんと元気なのです。
6月下旬に突然やってきた猛暑に最初エアコンなしで過ごしたせいで一度ダウンしましたが、漢方薬で復活。何よりあの「生きている感じがしない」状態がない。朝、血圧を測ると上が80台だったりするのですが、意外に大丈夫。例年ダメだった早朝の太陽礼拝も今年はできる。数値に惑わされてはいけませんな。
何をやってもダメだった夏の病なので、これほど顕著に漢方薬が効果を発揮するとは思いませんでした。
さて、本題はここから。身体が元気なのでうっかりアーサナのワークショップをやろうなどと思いついてしまいました。それも、修行風味の薄い、ヨガスタジオ風の楽しいワークショップを、です。
しかも、シリーズ(3〜4回)でやります。
たとえば、ヨガのティーチャーズトレーニングなどを受けると、バックベンド系とかアームバランス系というようにカテゴライズして、アーサナのことをひととおり学ぶわけですが、そのような分類の仕方でシリーズ化を考えました。たぶんアシュタンガだけを練習しているひとには新鮮に感じられるでしょう。そして、きっと、たぶん、絶対的に楽しいでしょう。イメージとしては、ヨガを習いたてのころのキャッキャというような楽しさ。
にわかには信じ難いような気がするかもしれませんが、きっと気のせいです。
もちろん、まじめにアーサナのことをしっかり学びたい方にもおすすめです。興味本位でも、よくわからなくてもきっと楽しめると思いますので、ぜひどうぞ。
笑うシュー理事長。
犬生最大に貢がれた日
初めて理事長の「誕生会」を開催してみました。以前は座学とか練習のついでにケーキを食べるイベントを挟んでいたのですが、記念すべき19周年ですからね(ホントはそれで座学がもっていかれるのを避けた)。
日曜マイソールの後とはいえ、犬の誕生会ごときに多くの方がご参加くださり、それはそれは楽しい時間を過ごすことができました。
朝イチ、参加できない方がシャレオツなお花を持ってきてくださって感激。
次いで、昨年赤いちゃんちゃんこを縫ってくれたあの方からも、無念の欠席の代わりにおったまげーのプレゼントを賜りました。
この完成度の高さったら。もはや言葉を失います......。
さて、マイソールも終わり、記念式典に向けて赤いちゃんちゃんこに着替えてもらおうとしたら......、
銀のちゃんちゃんこ登場!
昨年赤いのをもらったときに励ましとして「19歳は銀のちゃんちゃんこ、20歳は金のちゃんちゃんこ」と言っていた言葉どおり、ホントに銀。まさか現実になるとは〜! もちろん、お帽子と座布団付き。さらには、フェルトで作ったネックレス(中にはシューの毛が入っている)も!
次から次へと出てくる手作りのプレゼントに始まる前から沸きに沸きまくりです。そもそもこのイベントのメインは、もはやCHAZENには来ていないマダムから今年もいただいたケーキの「喰いっぷりショー」なのですが、そこに至る前からすでに興奮が止まりません。
うっかりケーキ本体の写真を撮り忘れました......。
が、そこは毎年恒例でいただいているだけに昨年の写真でご覧ください。変わっているのはプレートの年齢が18才から19才になったことくらいです。
はい、今年も期待を裏切らないみごとな食いっぷりでした。この瞬間だけは「どこが老犬なん?」です。
フォトグラファーの某嬢が、きっと何度も見返して笑えるであろう食いつき動画を撮ってくれました。何から何まで至れり尽くせりです。
お体に触らぬよう半分ほど召し上がったところでメインイベントは終了。理事長を「お誕生日席」にお連れしてお茶会に移ります。
私からのささやかなおもてなしはフルーツポンチ。
あまりに暑いので思いつきで作ってみました。ベースには昨年仕込んだ杏酒をちょっぴり入れ、みつ豆風に寒天を添えて。
自前の限界を知る私は、メインのお菓子を毎度おなじみのS子製菓に発注したところ、キャロットケーキとビクトリアンなんちゃらスポンジケーキの2種類も焼いてきてくれました。
さらに、あまりに暑いので(しつこい)ミントティーを飲んでいただきたいと思い、これまた練習生のお庭にあるハーブを摘んできてもらったのでした。以前はCHAZENでも育てていたのですが、現在ベランダにハーブがほとんどないのです。
と、ここまでで十分楽しくて心も体もお腹いっぱいなのですが、まだ続きがありまして......。
宴もたけなわになったころ、某丈が突然立ち上がってシューちゃん愛を激白し(知ってるけど)、自作のオオタニシューヘイ・ユニフォームをプレゼントしてくれたのでした。
追記:犬谷(いぬたに)シュー平の間違いでした。
こりゃあ、逆転一発ホームランですわー!
さっそく、シューヘイ殿のお色直しとなりました。これがまたピッタリでお似合い。
いやはや、長生きはするもんですな。
犬生始まって以来の晴れがましい1日でした。よきかなよきかな。
満腹になり、さすがに疲れてお昼寝タイム。ここでもうひとつのプレゼントが。いつも練習終わりにマッサージをしてくれるあの方から、ひんやり枕です。これ、首が落ち着かない理事長にちょうどいい。
愛♡愛♡愛。
あまりにも幸せそうなシューの姿を、母に見せてあげたくなりました。たぶん、みなさまからの無償の愛が理事長の寿命を延ばしているのでしょう。ありがとうございます。
もうしばらくはCHAZENのみんなを叱咤激励せねば......と、投げて打って、食って寝てがんばるそうです。
チームCHAZEN、しまってこうぜ〜!
とうとう19歳
きのう欧州出張中の星覚さんから連絡があり、急遽今朝30分ばかり随聞記購読会を行いました。時差があることや、ネット環境の問題があり、予定を決めることが難しかったのですが、きのうの夕方知らせたにもかかわらず、数名の方が参加してくださったのがありがたかったです。
随聞記の内容よりも、スイスにいる星覚さんが現地の道場を見て感じたことや、修行者の話にインスピレーションを得たことなど、ナマの話が聞けたことが何よりでした。
最近しばしば強く感じることなのですが、指導者にとっては外に出て刺激を受けることが自分自身を潤すために必要です。もちろん外に出なくても書物や、今ならインターネットを通じて刺激を受けることは可能なのですが、実際に五感から入ってくる刺激や、直接は関係ないと思われるディテールを含めての刺激には遠く及ばないでしょう。
コロナ以前から主に理事長マターで外に出られなくなった私は、自分が枯渇していくのを感じますが、それすらも自分で決めたことなので、まっとうしたいと思います。
ということで、まさかの19歳になった当学園の理事長です。
なんかもう毎年「まさか」と言ってきたので、もはや悪性腫瘍からの生還があってもさほど特別感がなくなっているような気がしないでもない誕生日です。
最近、理事長が小さいころから参考にさせてもらっていたトイプーの先輩が19歳7カ月で、そしてYouTubeで見ていたののちゃんが20歳4カ月で相次いで虹の橋を渡ってしまいました。目の前の目標を見失ったような気がして少しがっくりきているところですが、理事長はまだまだやる気マンマンで、突如やってきた猛暑をものともしない食欲を見せています。バースデイウィークということで、ちょっとフードを豪華にしているせいか、ご飯どきになるとフードボウルの前で待機して、ワン(まだかよ)! と催促まで。
腫瘍はその後再発の気配なく、昨年は状態のよいときでも月に一度はあったけいれんの発作も、もう5カ月近く出ていません。足腰が弱って頭から転がることが増えましたが、新しいプールのお部屋のおかげでケガのリスクも減り、そればかりか背骨の矯正的な、後脚の補助輪的な効果もあり、少し若返ったような......。
ともあれ、無事この日が迎えられたことに感謝して、理事長には行けるところまでがんばっていただきたいと思います。
生きたらば、ただこれ生、滅きたらばこれ滅にむかひてつかふべし。いとふことなかれ、ねがふことなかれ。
正法眼蔵 「生死」より
さて、明日はさらに若返るであろうアレが待っています。
期待に胸ふくらませる今宵です。