CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

自分のドラマを生きる

最近はYouTubeを超えて、ビデオを見ている。
近ごろ妙に俗に向かっている私は果たしてここで嫌悪されるのか、はたまた歓迎されるのかわからないが、初めてテレビを見たハイジみたいに喜んで次々に観ている。というのも、勉強していて眠くなったときに映画など観ると目が覚めて、そのあとすごく集中できるのだ。切り替えがうまくいってるのかな。おかげでこのところ、インド思想の探究活動やら中医学の勉強やらが目標以上に捗っている。

ショーケン観た後に映画やテレビ番組などのラインナップを見たときは興味のあるものがほとんどなかった。それが、いくつか視聴したらおすすめがカスタマイズされたので、うっかりまんまと罠にはまってしまったのだ。そんなわけで、ヨーヨー・マドキュメンタリー映画を観たら音楽系が表示されるようになり、おすすめされたのが「カルテット」という17年のテレビドラマ。

「逃げ恥」みたいなのはさすがにテレビなくても大まかには知っているけど、軽井沢が舞台というこのドラマのことはぜんぜん知らなかった(いや、きっとどこかで耳にしていたはずだけど、テレビドラマの話題をスルーしていたのだと思う)。

で、軽井沢ということでロケ地をチラ見(飛ばし見)するつもりが、初っ端から引き寄せられて4日くらいで全10話の視聴完了しちゃった。

なにしろ脚本がうまい。
伏線の張り方が凝っている。グッとくるセリフも多い。キャラ設定がいい上に役者がそろっていて、うまくその味が出ている。クドカンみたいなホンだなと思ってたら役者として出ていた。軽井沢というロケーションも上手に使っていて、よく作られている。なにより、軽さと重さ、サスペンス性とほっこり性、人間の弱さとあたたかさが絶妙なバランスで、きれいごとだけでないのに後味がよい。久しぶりに楽しいテレビの時間を味わった気がする。

これぞシャバの楽しみ。
映像や音楽は刺激が強すぎて翌日以降に残るし、その世界に溺れてしまいやすいタチなので、なるべく観ないようにしてきたけど、今は俗の方向にちょっと戻してもいいかなと思っている。

ドラマって現実にはありそうもない「たわごと」なのだけど、少しの間夢を見せてくれる。現実にはありえないけど、もしそうだったらいいなあという夢。そうやってみんな仕事のストレスを発散させたり、退屈な毎日の埋め合わせをしたりしているんだね。そういう小さな娯楽を生きがいにして、なんとか毎日をおもしろく生きているのが現代の標準的な人間なんだと思う。

だけど、どんなに楽しくてもそれはほんのいっときのこと。24時間365日の一生を楽しませてはくれない。「カルテット」を満喫したあとでそんなことを思った。

ただ、それを知った今だから、それを娯楽として楽しむことができるようにも思える。
修行のためにはある一定期間、俗を徹底的に避けることも必要だけど、洞窟で暮らすわけではないので、俗の中でどう生きるかということもまた修行のひとつである。


それはそうと、このリアルな自分の日常こそが夢・幻と言われたら驚くかな。
楽しくても苦しくても、ほんのひととき、宇宙時間で考えたらほんの一瞬のドラマ。私たちは、たぶんすでに決められているであろう筋書きを、そうとは知らずに演じているようなもの。

ただ、筋は決まっていてもどんなドラマに仕立てるかはそれぞれ変更可能なの。
苦しい苦しいともがくドラマにするか、何があっても笑顔で乗り切るドラマにするか、その演出は自分に任せられているから、同じ筋書きでも全然違うドラマになる。

そう考えると、自分の人生の演出がいちばんおもしろく思えるね。
出ずっぱりの主演俳優兼演出家だから、どんな風にでもアレンジ可能なのさ。

ドラマ「ちゃみこ」では、劇中劇を楽しみつつ、もう少しいい演出ができるよう試行錯誤を続行しております。

さて、みなさまはどう自分の人生を演出されますか?

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この汚いお顔も演出? ヘアメイクさーん、なんとかしてください