CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

「わかりあえない他者と生きる」

現代の哲学者たちがどんなことを言っているのかを知らないのだけれど、たまさかマルクス・ガブリエルの『わかりあえない他者と生きる 差異と分断を乗り越える哲学』PHP新書(以下引用はすべてこちらから)を読んでみた。タイトルが気になったのと、名前だけは存じていたこの方がどういうことを語られるのかなと。

ふうん、これが現代思想のトレンドなのか。
と、興味深かったり納得させられる部分もあるけれど(SNSはやめなさいとか)、結局は現代の枠組みの中であれこれを論じているだけで核のようなものは見つけられなかった。他の著書を読んだら違うのかもしれないけれど、お釈迦様が偉大すぎてほかの思想はどれも同じに思えてしまうのよ。

おそらく現代の西洋の思想家たちは、ヨガやマインドフルネスの普及により、それなりに東洋思想を学び、ある程度の影響を受けているのではないかと思う。ドイツの哲学者であるマルクス・ガブリエルも然り。ところどころに、瞑想だの、マインドフルネスだのという言葉が登場する。

彼は東洋思想のなかでも、禅宗に代表される現在主義(presentism)という哲学に興味を持っているという。そして、禅宗の説く「欲望のレベルを下げること」が大事だと書いてあるので目を見開いて読んでみたのだけれど、具体的な話には展開せず、日本のメディア向けのサービスで「フジヤマ・ゲイシャ」的に言っているようにしか思えないのが残念だった。

禅宗に代表される現在主義」とはどういうことを指しているのだろう。形而上的な時間の観念というよりも、現実的な在り方の問題として言っているようにも感じられる。

この本の中には、「今」が大事であるということが述べられている。これが「現在主義」の側面なのかどうかはさておき、おっしゃるとおりなので以下に引用させていただく。

常に今行動し、未来に備えてください。未来の自分を明日の現在の自分と考えてください。未来を考えない。必ず現在を起点に自分を考えてください。現在がすべてであることを受け入れてください。多くの人が自分の人生を未来に先延ばししています。

人生を将来のいつかに先延ばししないことはとても大事です。今を生きましょう。

だけど、私がいちばんグッときたのは以下の言葉。

哲学からの学びとはソクラテスが言ったようにいかに死ぬかを学ぶこと。
真の哲学者はいつでも悔いなく死ぬことができる。

これこそが「生死を明める」ということ。→来月の印哲喫茶のテーマ


それにしても、読後に残るモヤモヤ感よ。
それこそが分断と差異の源泉なのか。私の頭がカチカチなのか。

それでも社会は少しずつ動き始めていて、いろんなことが2年ぶりにできるようになっている。

今を生きよう。


理事長、糸島の裏山でとれた枇杷が献上されましたぞ。

お目目パッチリ(さっきまで寝てたのに)