CHAZEN三昧

アシュタンガヨガと禅のある毎日

呼吸こそヨガ

人が生涯にする呼吸数は決まっているという話を聞いたことありますか?

つまり、浅く速い呼吸をしている人は短命で、深く長い呼吸をするほど長生きするということ。古代インド人が言ってそうなことですが(ソースは不明)、呼吸の重要性は何千年も前から知られていたのだと思います。

8月に受けた解剖学講座で特に印象深かったのが呼吸の話でした。
呼吸のはたらきは、空気中から酸素を体の組織に取り入れて二酸化炭素を排出するというものですが、そのガス交換に関与しない死腔量が1回あたり150mlあるそうです。たとえば300mlの空気を吸った場合、実に半分がロスになってしまうんですね。深い呼吸をすればするほにど効率よく酸素を取り入れられるということです。計算すると......

1回の換気量が250mlで1分間に32回呼吸(浅速)→ (250-150)*32=3,200ml
1回の換気量が500mlで1分間に16回呼吸(ふつう)→ (500-150)*16=5,600ml
1回の換気量が1000mlで1分間に8回呼吸(深遅)→ (1000-150)*8=6,800ml

1分あたりのガス交換量はどれも8,000mlで同じですが、プラーナになる量は半分以下。こう言われると冒頭の話もナットクです。

深い呼吸はまた自律神経を調えます。
自律神経は運動神経などと違って努力して動かすものではありません。基本自動制御なんですね。フードプロセッサーみたいにスイッチを押して消化機能を強モードにすることはできないのです。緊張して交感神経が優位になれば腸の動きは抑制され、リラックスして副交感神経が優位になれば、動きは活発になります。どちらも不可欠ですが、どちらかに偏ると体調に影響します。特に現代人は緊張が続くことで自律神経のバランスが崩れることが多いかと思います。

そんなとき、手っ取り早くリラックスモードになれるのが深い呼吸です。
しかし、その深い呼吸がうまくできなかったりします。アシュタンガヨガは身体を動かす以上に、この呼吸によって身体の隅々にプラーナを送り込んで身体組織を活性化しているのですが、理想的な呼吸で練習できている人は数えるほどかもしれません。

練習生が見えないところにいると、目で見ているときよりも音にフォーカスされるため、呼吸の状態がよくわかります。ポーズに意識がいってしまい呼吸がおろそかになっていたり、均等に呼吸できなかったり、力んでいたり、むしろ苦しそうに呼吸していたり......。もったいないことです。

そんなわけで9月の呼吸法ワークショップは、新しい呼吸法を習うことよりも、マイソール練習での呼吸を改善するためのワークを多く取り入れたいと考えています。身体が思うように動かなくても呼吸さえしっかりできれば、充分にヨガの恩恵を享受することができます。そんな基本の呼吸法、わかっているけどできないソレをもう一度確認して、日々の練習をより充実させてください。すべてのマイソール練習者におすすめいたします(10名限定ですが......)。

呼吸法実践のあと、漢方喫茶では呼吸と関連した養生、あるいは秋の養生についてお話しする予定です。ご参加お待ちしております。


8月の早朝、茶色くなってきた蓮の葉をチョキンと切ったところ、プクプクっと泡が出てきました。まるで金魚の水槽に入れる装置のように次から次へと空気が出てくるのです。何時間もずっと。

f:id:chazenyoga:20210901191727j:plain
この子たちも息をして生きているのね


なんだか悪いことをしてしまったような、それでいて親近感がわくような......。